<2.難航した社外取締役の人選>
ずれ込んでいた人選がやっと決まった4月22日午後、みずほFGの佐藤社長は日銀本店(東京都中央区)で記者会見し、大田弘子政策研究大学院大教授、日立製作所の前会長の川村隆氏、元最高裁判事の甲斐中辰夫弁護士の3人を新たに社外取締役に迎え入れると発表した。
6月下旬の定時株主総会の承認を経て就任する。この人事によってみずほFGの取締役は13人となり、社内取締役が7名、社外取締役が6名と約半数を占めることになる。
席上佐藤社長は大田氏について「マクロ経済の知識があり、閣僚経験もある。大きなスケールのなかからみずほの課題を取り上げる高い見識があり、調整能力が高い」と述べ、取締役会議長としての手腕に期待を表明した。
大田氏は公共経済学が専門で、第1次安倍内閣などで経済財政担当相を務めたり、パナソニックなどの事業会社で社外取締役の経験はあるが、みずほFGは大田氏のために取締役会副議長を新設しサポートする体制を整える。その副議長には監査委員長に選任されるみずほFGの高橋秀行取締役が就任する。
また川村氏については「日立製作所を大改革した中心人物で、同社を委員会設置会社とした豊富な経験がある」と語り、企業統治改革への貢献に期待を示した。
◆委員会設置会社をめぐっては、昨年の国会で社外取締役の設置義務化が議論されたほか、東京証券取引所の改正上場規則で社外取締役の導入が盛り込まれている。みずほFGの委員会設置会社移行はその流れを先取りするもので、3メガバンクでは初めてとなる。
◆新設される指名委員会(取締役の人事案を作成)、報酬委員会(取締役の報酬査定、監査委員会(取締役の適正審査)は、取締役会のもとに置かれ、過半数以上を社外取締役で構成されることが義務付けられている。
◆委員会設置会社になると取締役会議長は社外取締役が就任することになっており、みずほFGの経営改革の成否は、その議長に就任する大田弘子氏の手腕に委ねられることになる。
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