2010年1月に合併により誕生した糸島市は、福岡市に隣接していながらも豊かな自然に恵まれており、近年は各メディアに頻繁に取り上げられることもあって、一躍脚光を浴びている。これから糸島市は、どのように変貌を遂げていくのか。今年2月に新たに糸島市長に就任した月形祐二氏に、これからの糸島市のまちづくりや市政の方向性などについて話を聞いた。
<11の基本方針を軸に、地域の活性化を図る>
――最後に、これからの4年間をどのように攻めていかれるか、簡単にお聞かせください。
月形祐二氏(以下、月形) 先ほども言いましたが、私が述べた所信表明のなかで11の基本方針を策定しています。その11の項目でやるべきことはたくさんあります。そのなかでも「10万都市糸島」ということを考えたときに、「住みたい」「住み続けたい」まちにしていくために、まずは今言ったブランド糸島を確立していかなければなりません。それは、農林水産物であり、この地域の持つ自然、そして「人」なんですね。人をどう育てていくか、人も含めてブランド糸島を確立していく。そうすることで、地域活性化を図っていきたいというのが私の夢です。
福岡市から40分くらいで行ける距離などいろいろな意味で、糸島市と同じような条件のところは、福岡市の周辺にはあります。これまで福岡市が発展していくなかで、南には西鉄大牟田線があってどんどんと伸びていった。東に、国道3号線やJR鹿児島本線があって、どんどんと伸びていきました。これらに比べると、この糸島という地域は、地下鉄の相互乗り入れ、そして高速道路も遅れてしまい、ある意味では遅れた地域だったのです。
その遅れたということを逆手に考えてみます。現在、福岡市の周りを見ると、南に行っても東に行っても、福岡市との境がわからない状況です。でも西に行くと、長垂山を越えたあたりから糸島という地域だとはっきりとわかります。そういった1つの地域として確立している糸島では、自然をきちんと残したうえで九州大学学術研究都市構想など、クラスター型の開発に取り組んでいきます。そして、そのなかに企業や研究所をどう配置していくか、雇用の場も教育の場も含めて、この糸島が本当にすばらしい地域だということを皆さんに認知していただける、そういうまちづくりを4年間やっていきます。
――やりがいという意味では、県議のときとはまた全然違うもの、という感じですね。
月形 それは本当にそうですね。県議会議員は議員なので、執行権は持っていませんでしたから。市長としては、今の限られた財政状況のなかで、やりたいことは本当にたくさんあります。ただし、それらやりたいことのなかでも取捨選択をしながら、きちんとプライオリティをつくり、やるべきことを1つひとつ前に進めていきます。4年間でやれることには限りがありますが、1つでも多くのことを前に進めていくことによって、糸島市の発展のために尽力していきたいと思っています。
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▼関連リンク
・糸島市HP
■所信表明
(1)"ブランド糸島"の確立
(2)九州大学の知的・人的資源を生かした学術研究都市の構築
(3)子育て支援と特長ある学校教育の充実
(4)"住みたい、住み続けたい"定住の促進
(5)"元気で長生き"市民の健康づくり
(6)農林水産業、商工業の振興と働く場の創出
(7)自助・共助・公助による災害に強いまちづくり
(8)糸島が誇る自然環境の保全と文化の継承
(9)快適な生活環境の整備
(10)人権尊重のまちづくり及び男女共同参画社会の推進
(11)行政改革による足腰の強い財政運営
<プロフィール>
月形 祐二(つきがた・ゆうじ)
1958年生まれ。83年3月に西南学院大学法学部卒業後、一般企業への就職を経て、86年から衆議院議員・太田誠一氏の秘書を務める。その後、2003年に福岡県議会議員に初当選。3期を経た後、14年2月に糸島市長に就任した。
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