<不動産業からの転身、視線はすでに東証一部へ>
介護とカラオケを柱に事業を展開する(株)ウチヤマホールディングス。2012年4月に大証ジャスダック市場に株式を上場し、13年12月には東証二部に市場を変更。北九州が誇る上場企業の1社として、着実な成長を続けている。見据えるのはもちろん東証一部。一代で同社をつくり上げた内山文治社長を先頭に、掲げた目標を早期に成し遂げるべく、強い意欲を持ってさまざまな課題に取り組んでいる。
同社の起源は、1971年に設立された内山ビル(株)に遡る。家業の米屋から不動産業に転じた内山氏が、初めて五階建ての賃貸マンションをつくったのは29歳のとき。これを皮切りに、北九州や福岡、東京などで300以上のビルや分譲住宅などの建築に携わり、内山ビルは県下に名を轟かす不動産会社へと成長を遂げていく。しかし、93年頃に九州地域でバブルが崩壊。数十億円の金融負債を抱えていた同社も、倒産の危機に瀕することになる。
不動産業者の破綻が相次ぐなかでも同社が倒産を免れた秘密、それは常にキャッシュフローを意識した内山氏の経営姿勢にあったように思われる。多額の借り入れをともなう不動産業は、ともすると自転車操業に陥りやすい。しかし当時の同社は、月に1億円以上の賃料収入に加え、91年から始めていたカラオケ店の運営によって安定した現金収入を確保していたという。今でこそ主流となったキャッシュフロー経営をいち早く実践し、当座の資金を確保しながら次のチャンスを待つことができたからこそ、今日の同社があると言っても過言ではない。
胆を嘗めて薪に臥す。不動産事業で辛酸を嘗めた内山代表は、次のチャンスをうかがう傍ら経営哲学を磨き上げ、新たな事業に邁進していくことになる。1つは前述のカラオケ事業、もう1つは高齢者を対象とした介護施設事業である。根幹には、若き日から抱き続けた理想の社会、老いも若きも楽しく暮らせる「幼青老共生」を実現させたいとの強い信念があった。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:内山 文治
所在地:北九州市小倉北区熊本2-10-10 内山第20ビル1F
設 立:2006年10月
資本金:22億2,239万円
TEL:093-551-0002
URL:http://www.uchiyama-gr.jp/
<PRESIDENT PRIFILE>
内山 文治(うちやま・ふみはる)
1941年4月12日生まれ。60年に内山米穀店を承継。事業拡大の過程で不動産事業の魅力に触れ、71年6月に内山ビル(株)を設立し、代表に就任。県内外に多くのビルを所有して貸しビル業を展開した。その後、バブル崩壊にともない事業を転換。カラオケ事業と飲食店事業、介護施設事業などを関連会社で手がけ、2006年に持ち株会社(株)ウチヤマホールディングスを設立し、代表に就任。12年6月に大証JASDAQ(スタンダード)上場、13年12月から東証二部。
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