<縁が結んだ再進出、さらなる発展を目指して>
再進出の大きなきっかけとなったのは、かつて東京での展開の際に協力を仰いださとうベネックの破綻である。東京から撤退して以降も、いずれはまた進出したいと考えていた同社だったが、過去の経験があるとはいえ、自社で改めて進出するには時間もコストも必要だ。そこに、地場ゼネコンとして福岡を中心に実績を積み重ねてきた理由がある。
さとうベネックの人材は、人材不足に喘ぐ建設業者らにとって、とても魅力あるものであった。それは、同社にとっても同様で、結果的に東京での経験を有する人材を受け入れることができた。「また、東京で働きたい」という要望もあり、12年に東京支店を再開設。営業・技術職の計2名によるスタートを切った。まだ、開設から日は浅いが、さとうベネックと取引を有していた業者を中心に元社員から声をかけることで顧客の拾い上げを狙っており、今後の人員増も視野に入れている。
さらに、同社は歩を進め、昨年10月にはさとうベネックが本社を置いていた大分にも営業所を開設。東京と同じくさとうベネックから受け入れた人材が中心になって担当する。もともと、県下トップの実績を有していたこともあり、今後の展開が注目されるところだ。
前回の進出は、グループ戦略という側面があった。自社開発受注物件もあったが、あくまで与えられた仕事を淡々とこなす施工に注力したもの。経営体制から考えても、発注された仕事を断るわけにはいかず、単なる施工業者として動いていた側面があったことは事実である。偶然にも、五輪開催が決定した東京では建設需要は急激に高まっているが、あくまでも「堅実」というこれまで掲げてきた展開戦略から外れることはない。
以前は、人材を送り続けることで福岡での事業展開に支障をきたす状況がないでもなかった。縁が縁を呼んで果たした東京再進出、そして大分への進出だが、あくまでもこれから育てていく市場だという認識を持っている。堅実経営のおかげもあり、下請業者の不足に悩むこともなく、かつて 形成していた東京地区でのサンコー会(協力会)のメンバーにも今後協力を仰いでいくとする。
図らずも、かつて協力を得たさとうベネックが倒産したことがきっかけとなり、再び東京進出を果たした。これが、後々同社における転機となるかは未知数だ。ただ、いくつもの機会が重なったことによる再進出であることは間違いない。
同社代表取締役社長の園村剛二氏は過去の進出について「東京進出の際の苦労が自社を強くした」と語る。いずれは、かつての事業規模まで東京での基盤を築きたいといった展望もあるが、今はあくまでも基盤形成の時期。これからも、地域に密着した提案を続け、地域に貢献したいという考えは変わらない。現在、建築・土木から福祉事業など、幅広い分野で実績を積み上げている同社。東京・大分においても、この地域貢献の考えが波及することで、「サンコービルド」の名を聞く機会が増えること、そしてそれが拠点の福岡におけるさらなる発展につながることを期待したい。
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<COMPANY INFORMATION>
(株)サンコービルド
代 表:園村 剛二
所在地:福岡市博多区博多駅前1-31-17
設 立:1972年8月
TEL:092-414-6610
URL:http://www.sanko-bld.co.jp/
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