福岡県会議員らによる2月定例議会の報告が各地で進むにつれ、県財政の厳しさを危惧する声があがっている。2014年度の当初予算で福岡県の県債(通常債)残高が減少する一方で、県債残高全体は過去最高となっているからだ。
民主党・県政クラブ県議団会派の原竹岩海県議(筑紫野市選出)は、歳入面について「景気が回復基調にあるとして、法人2税や個人県民税などの県税等を、前年度より516億円の増収を見込む積極的予算を編成されていますが、財政状況は以前厳しく財源不足は明らか」と指摘する(県政報告第31号)。
県の14年度一般会計予算は総額1兆6,718億円、9年連続の増額予算で、前年比401億円の2.5%増となった。歳出面では、前年比3.2%増の1,905億円を計上し、2月補正予算で362億4,900万円を追加。福岡県は、新年度予算と合わせた14カ月予算で経済対策や中小企業支援を行ない、着実な景気回復と雇用の回復を目指すとしている。
県は、財政健全化を図るため、財政調査基金などの3基金から46億円を繰り入れる一方で、県債残高(通常債)を2012年度比で16年には550億円圧縮する方針だ。
2014年度当初予算でも、県債残高(通常債)は2兆2,769億円と前年度比234億円減。しかし、この県債残高は、「通常債」とあるように、臨時財政対策債(臨財債)を除いた金額であることに注意が必要である。
県の財源不足の解消を図る「財政改革推進プラン」の今後の見通しにおいても、県債残高全体でみれば12年度比で16年には3,741億円増加する見込みで、これは臨財債が通常債の圧縮を上回る勢いで増加することを示している。
臨財債とは、国が地方交付税交付金の形で地方に配分していた分の現金が、国の財源不足によって確保できなくなったために、地方に地方債を発行させ、その返済を後年の地方交付税で措置するというものである。
本来は、2000年度から03年度までの3年間の臨時的な措置であったが、2度にわたる延期を経てなお続いており、福岡県では、12年度の決算で残高が8,976億円と前年比およそ1,000億円のペースで増え続けている。
後年の交付税で措置されるから大丈夫なのでは、という話ではない。民主党・県政クラブ県議団は、臨財債が際限なく増え続けることを危惧している。
同県議団による代表質問で明らかになったが、臨財債の返済に充てられる元利償還金を国が算定する際の、県の一般財源総額が変わらないため、他の経費が圧迫され、その返済負担を県、つまり県民が負うことになるのである。
14年度の臨財債を含めた県債残高は、3兆4,097億円の見込みで、これは福岡県民一人当たりに換算して67万円の借金を背負っていることになる。当然ながらここで言う「県民」に年齢は関係なく、産まれたばかりの子どもも入る。さらに「財政改革推進プラン」においては、16年度の県債残高が3兆5,930億円、県民一人当たりの借金が71万円を超える見込みとなっている。借金が増える一方で満足なサービスを受けられない未来が、着実に迫ってきている。
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