<台湾経済のコアである中小企業>
韓国は、財閥傘下の大手企業にはありとあらゆる特典が与えられる。その反面、中小企業の育成は掛け声倒れになるケースが多々ある。
韓国と経済的にライバル関係になっている台湾と比較すると、その現実はもっと明確になる。
台湾の場合は成長ステージによってサポートをしてくれるはしごが完璧に用意された国である。名前を挙げれば誰でも知っているような台湾企業は、中堅企業から大手企業に着実に成長を成し遂げた企業である。台湾の大手企業は、韓国のように財閥傘下の企業で特典が与えられた企業でもなければ、身内同士で創業した会社でもない。実力だけで成長を成し遂げた企業がほとんどである。韓国では多くのベンチャー企業が創業をしているが、ほとんどが市場から消えていく。韓国で中小企業が大手企業に成長した例は数少ないのである。
台湾の中小企業が大手企業に着実に成長できるのには理由がある。国家経済の成長の軸が大手企業ではなく中小企業においてあるからである。
政府は公正な競争ルールを作り、企業は技術開発と事業モデルのイノベーションに集中できるようにしたからである。その結果、台湾の中小企業は力を蓄えるのに注力し、それは健全な経済生態系を形成する結果につながった。雇用構造においても、台湾全体企業の97%を占めている中小企業は、雇用で77%の比重を占め、全体企業の3%に過ぎない大手企業が雇用の面では23%の責任をとる雇用構造になっている。
大手企業の雇用率が高いということは、それに比例して雇用の安定性が増すことを意味している。雇用市場が安定してくると、その分経済生態系の活力にもなってくる。
それに、台湾の大手企業と中小企業の関係は、韓国のように甲乙の関係ではない。韓国では想像することもできない水平的な関係である。
韓国では大手企業は甲で、中小企業は乙である。大手企業は、協力会社である中小企業に排他的な支配権を行使する。協力会社が他の企業と取引するのは根本的に禁じられている。大手企業が取引をやめると、中小企業は生き残ることが難しい構造である。
このような環境で中小企業が成長するのはなかなか難しい。
その反面、台湾では、複数の大手企業に取引をしている中小企業がほとんどである。中小企業は独自の技術を持っていて、納品価格の交渉においても対等な関係を保つ。すなわち、協力はするが、支配はしない構造、企業の規模に関係なく共に成長できる伝統が構築されているのである。
それから、台湾政府のR&Dに対する継続的な支援策も、中小企業発展の軸になっている。もちろん韓国にも、政府が中小企業を支援する制度はある。ただ、韓国の場合には、予算の90%が財閥傘下の企業に割り当てられる反面、台湾の場合にはその逆であることが違う。
これが台湾の企業が最先端のIT分野で頭角を現す理由である。台湾はノートパソコン、ネットブック、マザーボード、ケーブルモデムにおいて世界市場の90%を占めている。実質的に市場を支配しているのである。
台湾と比較してみると、韓国の中小企業がいかに劣悪な環境におかれているのかがよくわかる。このような劣悪な環境にもかかわらず、韓国には中小企業が多い。日本の全体企業数は180万社、台湾の企業数は130万社であるのに、韓国は300万社以上の企業がある。韓国より経済規模の大きい日本よりも多いし、台湾の2倍くらいの数である。今後韓国の中小企業を如何に活性化できるかが韓国経済の活性化の要である。
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