中洲でまた裏カジノが摘発された。5月8日の夕方頃、警視庁と福岡県警が中洲3丁目のビルを常習賭博の疑いで家宅捜索。パチスロ機約50台が押収されたという。そのテナントの借主が、なんとガーナ大使であったというから驚きだ。昔観た有名ヤクザ映画に、似たようなくだりがあった。美人局で一国の大使の弱みを握り、その事務所に裏カジノを開かせるというものだ。
はたして、ガーナの大使が裏カジノをやるために中洲のテナントを借りていたというのか。まったくもって不可解であり、中洲探究家の小生としては非常に興味を掻き立てられる。その一方で、疑惑のビルのほうに注目すると今回の摘発に至る流れも、これまた興味深い。同ビルは、2012年12月に売買によって所有者が変わり、外観のデザインを一新し、リニューアルしたばかりの物件だからだ。
現在、同ビルの1~2階はキャバクラ店となっているが、3~6階はビル内に設置されている表示物で確認したところ何も表示されていない。これまでガーナ大使館の福岡(中洲)出張所みたいなものがあったという話も聞いたことがない。そもそも周辺は、飲食店が軒を並べる歓楽街。夜の接待には最適かもしれないが、国家間の外交に関わる事務所に似つかわしい場所ではない。しかも、捜査があったビルは、以前、裏カジノが摘発されたビルのほど近くである。前回は、"とある事情"で表沙汰になることはなかったが、今回は地元メディアも大々的に報じた。
「外国の大使が中洲のテナントを借りたいという申し出を受けた時点で、変な話だと思うはずですが・・・」と、某不動産業者は訝しむ。歓楽街という特性上、借主の素性や背景、利用目的などについては、慎重に確認される。バブリーな時代には、開店のご祝儀を集めるだけ集めてサッサと店じまいするケースがよくあった。これが頻発すると、物件オーナーの家賃収入が不安定になり、「店の入れ替りが多い」と仲介業者にケチがつく。借主が、裏カジノのような違法行為をしていれば、物件オーナーの関与(知っていてかどうか)も問われる。安心して楽しめる中洲の風紀を守るためには、"入口"を管理する不動産仲介業者の責任は重いのだ。
西日本一の歓楽街・中洲にあるフレッシュになったばかりのテナントを、ガーナ大使に仲介した経緯とは一体どのようなものだったのか――。
<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。
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