「中国、韓国は『反日』の風が吹いているので、台湾と仲良くしておきたい」ということもあるだろう、福岡の行政トップが台湾を公式訪問する頻度が増えてきた。しかし、頻度を増やせばよいというものでもない。1月中旬、福岡市の高島宗一郎市長らの台湾訪問に関して、3月の福岡市議会で一部市議から「大金を使ったのに効果が見えない」と批判された。
果たして台湾訪問の効果はあるのかないのか?台湾側からしても「『福岡』という場所がよくわからない?」というのが現状のようだ。福岡の「位置」はわかる、しかし、その「仕組み」がわからないという。そして「福岡は『県』と『市』で別々に訪れる」ということも台湾側の悩みの種。ある台湾報道関係者は「『福岡県』と『福岡市』で首長がなぜ別々に来るのか?」と首を傾げているという。
台湾にも「縣(県)」と「市」の区分けがあったが、それぞれ独立した存在だ。台湾は行政区分変更で「高雄県」「台北県」などが消滅したが、消滅する以前も「台北市」と「台北県」、「高雄市」「高雄県」などは別々の地域を指していた。福岡は「福岡市」が福岡県の中にある。台湾的発想では「福岡県が訪問に来た場合、『福岡市を除く県域』を指すのだろう」とイメージを持つが、そうではない。福岡市も福岡県の中に入っていることが、外国人にとっては、さらにわかりにくくしている。
福岡県がPRに来ても「福岡市内」のことも触れる。台湾行政サイドは「九州で最も発展している『福岡市』とやり取りをしたい時に『福岡県』と話をすればよいのか、『福岡市』と話をすれば良いのかよくわからない。例えば『天神地下街』や『大濠公園』はどちらに話を持っていけばよいのか」と混乱してしまう。ましてや同時に訪問に来ればよいが、バラバラに来たりする。先日は、福岡県・小川知事が台北等で福岡県産のいちご「とよのか」のPRを行なったが、あくまで県主催。「県議団」がいくこともあれば「市議団」が行くこともある。このあたりの「バラバラ感」が台湾サイドに伝わりにくい。
福岡市民にとってもわかりにくく、市民が「国際交流」を考えると、福岡県には国際交流局があり、福岡市には国際経済コンテンツ部がある。どちらが窓口になるのかもよくわからない。関連団体も県からと市からのものがある。政令指定都市ならではの「福岡市」には県・市で様々なものが「重複」しているのだ。福岡市に存在する機関、事象などが「福岡市」のものか「福岡県」のものか、福岡市民ですら区別がついていないものが多い。その状態で、それぞれの首長が台湾を個別に訪れたところで、台湾の人には区別がつかないのである。
※記事へのご意見はこちら