緊張感を孕む日本と中国の関係。しかし経済や文化など国民レベルでの交流は、様々な形で行なわれている。5月に入り、河北唐山海港経済開発区の経済貿易代表団が福岡市を訪れ、唐山海港経済開発区代表団主催で投資セミナーを行なった。日本側からは、中華人民共和国駐福岡総領事、李天然氏をはじめ、経済関連の団体、経営者などが集った。
同地区の河北唐山海港経済開発区は、1993年6月河北省政府が批准した陸地面積432.4km2の、省クラスの開発区である。北京、天津、秦皇島などを近隣に持ち、すでに20年にわたる開発によって、300数億人民元の基本建設投資と、固定資産1,000数億人民元が投資され、世界各国809社の企業が登録、進出している。いまやその水準は、開発区としては国家クラスに達しており、河北省も率先して開発を進める重要な地区となっている。
唐山海港経済開発区の計画面積は88km2。広大な港があるのが特長で、6つの埠頭と150のパースを擁する。1.5~20万tクラスが停泊できるパースが33カ所あり、700万m2あまりの各種の置き場がある。航路は80余りの国、150の港と結ばれており、2013年の貨物取扱量は2億tを超え、コンテナ取扱量は57.6万TEUに達し、河北省内の第一の港になっている。
開発区も広く、120km2の工業・建設用地、8km2の物流用地、10km2の商業・住宅用地を有する。そこでは主に、中小型遊覧船製造ライン、唐山港京唐港区液体化工の備蓄、冷凍冷蔵物流の施設、コンテナ複合輸送センターの建設、クレーン設備および部品項目、港区30万トンクラスの原油埠頭の建設、唐山港京唐港区木材部中流園区の建設、造船用鋼材河港センターの建設などに投資することができる。
すでに多くの企業が進出し、完成されている感もある同地区の代表団が福岡との交流を求めて訪れたのは、李総領事が唐山市の首長を務めていたという縁があってのことだ。現在中国は、経済発展による環境汚染問題が、解決すべき喫緊の課題となっている。この点についての経験とノウハウを持つ日本から得たいという思いもあるようだ。同地区が掲げる目標には、情報豊富で数々の実績を持つ経済発展地区でありながら、環境に配慮した美しい港町として発展していくことが掲げられている。今後は東南アジア地域の協力窓口、環渤海新型工業化基地、首都経済圏の重要地域の構築に力を入れる。そのなかに、博多湾がどのように食い込むかについては未知数だが、大きなスケールを持つ同地区との交流は、想定外のビジネスチャンスを生む可能性もある。
日本側は、博多湾と同港湾地区が交流を深めることによって、より良い経済交流が可能になるのではないかと期待の目を向ける。9月には同地区への視察ツアーを行なおうという話も飛び出した。
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