<フローとストックの両立で強固な企業体質へ>
この14年間で70棟以上の供給実績を誇る同社であるが、この先の数年間はその供給力はさらに勢いを増していくようだ。2016年12月期までに、約2,000戸、約20棟を販売する計画で、すでに用地取得を済ませたほか、着々と竣工物件も市場に姿を現している。これにより、管理戸数は8,000戸を数え、管理手数料は売上高の3割にまで増加する見込みだ。フロービジネスであるマンションデベロッパーにとって、安定した固定収入の確保は誰もが羨むビジネスモデルである。
同社の売上の大半は、紛れもなく「エンクレスト」の販売といったフローであるが、管理というストックを着々と積み上げ、増税の影響も受けにくい強固な企業体質を手に入れた。不動産業全体が打撃を受け、業績の落ち込んだリーマン・ショック時にも、過去最高の売上高を計上したのがその証左だと言える。
投資家には分散投資の選択肢の1つとして「エンクレスト」を提案し、従業員に対しては、宅建主任者資格よりもファイナンシャルプランナーの資格取得を推奨。「我々は不動産屋ではない。金融商品を売っている会社だ」と社内に周知させているという。金融商品としての「エンクレスト」の投資利回りは高くもなく、低くもないと言える。しかし、株式などの金融商品と比較して、不動産投資は安定的に固定された配当があるのが魅力だろう。その利回りをより確実に配当するのが役割であると言い、高い入居率はその利回りを安定させるためには必須の要件だ。
<25周年を迎えさらなる飛躍を>
管理戸数8,000戸が具体性を帯び、目下の目標は管理戸数1万戸である。さらに、中古の「エンクレスト」の流通にも力を入れていくとともに、13年からは、入居者に対する情報提供サービス「えんくらぶ」を開始。主に管理物件周辺のショップで受けられる特典情報を提供している。入居者が「エンクレストに住んで良かった」と思えることで、入居率は安定し、ひいてはオーナーの満足度向上にもつながる。
また、実需型ファミリーマンションで実績のある(株)アーム・レポが企画提案し投資型単身者向けマンションで実績のある同社が施主、事業主となってコラボレーションした「エグゼ博多コンドミニアム」、単体事業の「エンクレスト南福岡奏の杜」と09年以来となる実需マンションを続けて投入。投資型にこだわらず、企画・販売力を活かした柔軟な経営戦略を見せる。
設立25周年を迎え、さらに存在感を増す同社の「変化」「成長」から目が離せない。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:原田 透
所在地:福岡市中央区大名2-8-22天神偕成ビル6F
設 立:1989年11月
資本金:1億円
TEL:092-751-8522
URL:http://www.en-jp.net/
<PROFILE>
原田 透(はらだ・とおる)
1959年7月9日、福岡県生まれ。投資用マンション販売会社(株)ダイナ(福岡市)を経て、97年3月に(株)えんの代表取締役に就任した。2000年以降は、「エンクレスト」の販売を開始。その経営手腕は高く評価されている。
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