メガバンク3行の2014年3月期決算が出そろった。円安と株高によって、貸出先の企業業績が好調に推移したことが大きな要因となり、与信費用の減少と株価上昇で株式売却益が収益を後押しした格好と言える。
◆この表から見えるもの
・ビック3グループの当期純利益は2兆5,085億円となり、08年のリーマンショック以降では最高益となった。東南アジアなどを主体として今後成長が見込める海外に、積極的に事業展開したことも収益拡大の大きな要因となった。
・預金については各行とも順調に伸びている。一方貸出金においては、三菱東京UFJは海外での積極的な融資拡大が大きく貢献し、11.6%の伸びとなったものの、三井住友、みずほは低迷している。日銀の金融緩和で、各行とも手持ちの国債を日銀に売り、手元資金は潤沢に保有しているものの、企業自体が潤沢な手持ち資金を持つており、国内の資金需要は伸び悩んでいるのがわかる。
・景気回復が長続きしないことも予想されることから、来期の純利益予想について、三菱東京UFJは9,500億円(前期比▲3.6%)、三井住友は6,800億円(前期比▲18.6%)、みずほは5,500億円(前期比▲20.2%)と慎重な見方をしている。
◆自民党は景気の持続的回復のために、法人税の実効税率(現行38.1%)を段階的に25%に引き下げることを目標に掲げており、少なくとも数年以内には20%台へ引き下げて、企業の活力を取り戻す方針を打ち出している。ビッグ3の業績も安倍政権が掲げる成長戦略が今後どのように実施されるかにかかっており、2014年度が安倍政権にとっても、まさに正念場と言えるのかもしれない。
※記事へのご意見はこちら