<宅島社長体制で次の飛躍へ改革進む>
2000年4月、宅島建設(株)と業務提携を結んだ大石建設(株)は、海上工事の老舗企業である。陸上の建設会社と海の建設会社が連携し、「最強のタッグ」という周囲の声があるが、これはお世辞ではない。
大石建設は、1933年7月に長崎県北松浦郡生月村(現・平戸市生月町)で、大石義雄氏が港湾土木業を創業したのが始まりで、89年に現商号へ変更した。2010年6月に、本社を平戸市生月町から佐世保市ハウステンボス町へと移転している。
宅島建設の社長を退いた宅島壽雄氏が12年8月、大石建設の代表取締役に就任した。宅島氏は、長崎県商工会連合会会長などを務める長崎県経済界、九州経済界を代表する傑物の1人だ。島原鉄道の経営再建、ハウステンボスへの出資、トリアス経営など、建設業にとどまらない活動範囲、影響力を持っている。
社長として乗り込んだ大石建設の財務状況に、「すごい基盤だ」と素直に先代オーナー一族を褒め称える。「長年にわたって培ってきた技術で、長崎県を中心に多くのプロジェクトに携わり、地元の発展に寄与してきた。お客さまや社会のニーズは刻々と変化していきますが、その変化に対応すべく技術の革新・向上を図っていきたいと思います」と語る。
一方、宅島社長は「港湾は楽に儲けられるから、緊張感がない。ぬるま湯意識が浸透してしまっている」と厳しい目も向ける。社風一新の旗を振り、お役所体質を強靭な民間企業に変貌させた。失敗しても他人の責任にしたことがない宅島氏に、周囲が絶大な信頼を寄せるからこそできる挑戦だ。
大石建設は、佐世保本社のほか、創業地の生月、長崎、対馬に支店を持ち、五島、島原に営業所がある。対馬は同社の大きな柱の1つで、年間50億円の売上高のうち10億円を稼ぎ出す。
その対馬市では、島内エネルギーの自立を目指して、バイオマスボイラーなど再生可能エネルギーを導入する動きが始まっている。同市は、長崎県と共同で応募した「分散型エネルギーインフラ」プロジェクト導入可能性調査事業(総務省)に採択された。自立的で持続可能な地域づくり、地域経済循環創出、新規企業の喚起という目的を踏まえた地域づくりを調査するものだ。新たなインフラ整備と、林業活性化に期待がかかる。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:宅島 壽雄
所在地:長崎県佐世保市ハウステンボス町4-52
設 立:1933年7月
資本金:4,850万円
TEL:0956-58-7733
URL:http://www.ohishi-net.co.jp/
<PRESIDENT PROFILE>
宅島 壽雄(たくしま・としお)
1944年生まれ。79年、宅島建設(株)の代表取締役に就任。2011年に代表を退いた後、12年8月、グループ企業の大石建設(株)の代表取締役に就任。そのほか、雲仙市商工会会長、長崎県商工会連合会会長を務める。
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