インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の取引所を運営する「マウント・ゴックス」(東京都渋谷区)が2月28日経営破綻。同社は民事再生法の適用を申請し、法的管理の下での事業存続を模索していたが、東京地方裁判所は民事再生手続きの申し立てを棄却し、破産手続きに移行することになった。同社にコインなどを預けていた約12万7,000人の債権者の多くが海外にいるため、失われた資産の実態調査などが進まなかったことや、名乗りを上げるスポンサー企業も現われず、再建が困難となったためだ。
しかしマウント・ゴックスの破綻が社会問題化したため、ビットコインに対する法規制を求める声が上がっていた。それに対して政府は3月、ビットコインは「通貨に該当しない」と閣議決定したものの、消費者保護の観点から与野党から規制を求める議論が高まっていた。
これを受けて自民党はIT戦略特命委員会で協議したが、結果的にはビットコイン取引に関する立法、現行法の改正は行なわない方針を打ち出した。ただし、法規制はしないものの、監視体制を強めることで調整することになった。
その内容は下記の通り。
1.不正取引を監視するため交換所は届け出制にし、口座開設者の本人確認や捜査機関への情報開示を求める。
2.ビットコインのような「通貨ではない価値を持つ電磁的記録(価値記録)」という新しい分類を設ける。
3.ビットコインでモノやサービスを購入する際には消費税を課税するが、通貨との取引を通じて発生する利益は捕捉が難しいため、現時点では課税しない。
4.決まっていなかった主管官庁については、経済産業省が中心となり、金融庁や警察、消費者庁など関係各省庁と連携する。
最近はインターネットの普及とともにネットバンキングを通じて預金を不正に送金される事件が多発している。去年(2013年)1年間の被害総額はおよそ14億600万円に上り、今年に入ってからは個人だけではなく、企業などの法人での被害も急増ししているとの報告が寄せられている。
ビットコインについてはネット上で直接やり取りができるため、それ自体に価値があるとの見方から法規制の対象外となったが、取引時間が短く、国内外で交換が転々と行なわれるため、取引に当たっては今まで以上に、自己責任原則が求められることになりそうだ。
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