4月28日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任した(株)ガリヤ。NET-IBでは、同社が倒産に至るまでを追った連載記事を掲載してきたが、この記事に関しては、元社員をはじめ、同社の利害関係者と思われる方々からの非通知電話などが、弊社宛に続々と寄せられた。予想以上の反響があったと言える。
今回の同社の倒産を受けて、弊社では会員向けの情報誌「I・B」誌面上で、同業者の方々などを集めて「フリーペーパー座談会」(I・B5月12日号)を実施した。そのなかで、インターネット媒体(以下、ネット媒体)と絡めたコラボレーションを行なうことが、これからの生き残る道であり、課題でもあるという意見などをいただいた。
ネット社会になり、紙媒体とネット媒体の融合は、今のフリーペーパーの主流となりつつある。そのようななか、ガリヤはネットとの融合に懐疑的で、取り組みが遅れたことも倒産に至った要因の1つとも言われている。それに加え、取材を進めるにつれて、業界関係者および経験者、元社員などから話を聞く過程で、長澤社長のワンマン的な意見を聞くことができた。
弊社にだけでなく、今回「ガリヤ顛末記」を執筆した釼英雄氏本人のところにも、数多くのガリヤおよび長澤社長擁護の意見が寄せられたそうだ。釼氏自身のコラムには、40件以上のコメントが寄せられ、「みんな一生懸命頑張ってたのに、批判するのはおかしい」「長澤さんは美人だ。批判するのは可哀想だ」などといった擁護的かつ情緒的なコメントがほとんどを占めたようだ。弊社にも読者から「記事の内容は本当ですか?ブラック企業じゃないですか?」「広告でお世話になったのだが、なぜそこまで悪く書くのか?」といった意見が届いた。読者や広告主に、ガリヤおよび長澤社長のファンが多いことを印象付けるものだった。読者のため、広告主のために、最後の最後まで発刊し続ける姿勢は、編集者として魂を持って仕事をしていたと言える。
だが一方で、給与未払いで書類送検されていたことに加え、社員に対して、「今月○万円広告を取れなければ辞めて下さい」などと圧力をかけた疑惑も持たれている。もし、これが事実であるなら、経営者としては失格である。
元社員らの告白によると、同社にも決して復活の芽がなかったわけではない。2010年、11年頃に一時事業が回復し、その頃、一部の社員の間では、ネットと連動した事業を推進しようとしたという。だが、長澤社長がそれを積極的に受け入れようとはしなかったようだ。長澤社長自身は、ネット事業自体をほかの社員に一任させていて、自らはタッチしていなかったという証言もあった。これに関しては「当時のネット担当者らに問題がある」と、長澤社長を擁護する元社員の声も聞かれたが、いずれにせよ会社を潰してしまえば、最終的に企業トップである長澤社長に責任がある。いくら誌面において美辞麗句を並べようとも、読者や取引先に喜ばれようとも、会社を倒産させてしまっては本末転倒だからだ。
くしくも長澤社長は、過去の弊社の取材(2010年11月)「フリーペーパーの祖が語る。ネット依存の怖さ(6回連載)」で、広告業界でのネットの在り方について痛烈に批判をしていた。これを一読していただければ、長澤社長がネット自体に懐疑的であったことがわかる。つまり、ネットと連動した助言など、そもそも心から受け入れるはずもなかったのだ。
同社の場合、記事広告主体のビジネスモデルが問題とも思われているが、時代の変化に対応できず、人の話や意見を聞き入れようとはしなかったことが、今回の事態を招いたといっても過言ではないだろう。
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