前稿では、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県の九州北部4県の県債状況について確認した。共通して、県債残高は増加傾向、なかでも臨時財政対策債(以下、臨財債)の残高とその割合の上昇が著しいといえる状況だ。
九州南部3県でも同じことが言えるだろうか。大分県、宮崎県、鹿児島県の県債状況をみていく。
大分県の2012年度決算における県債残高は1兆497億円で、前年度比81億円増。0.8%の増加。そのうち臨財債の残高は3,125億円(前年度比279億円増、9.8%増)で、県債残高の29.8%を占める。1人当たりの県債残高は88.6万円。
宮崎県の2012.年度決算では、県債残高が1兆497億円で前年度と比べ50億円の減。0.5%減った計算だ。3年間でわずかながらも減少していることになる。臨財債の残高は3,301億円(前年度比267億円増、8.8%増)で、これは県債残高の31.4%を占める。1人当たりの県債残高は93.2万円と、こちらも微量ではあるが減少している。
鹿児島県の2012年度の県債残高は1兆6,711億円。前年度比177億円増、1.1%増加。臨財債残高は3,815億円(前年度比440億円増、13.0%増)で、県債残高の22.8%を占める。1人当たりの県債残高は98.9万円となる。
九州南部3県においては、それぞれ異なる県債残高の推移があるが、臨財債残高、その県債残高に占める割合が増加していることについては九州7県すべてに共通していることがわかる。また、九州南部3県は、九州北部4県と比較して県民1人当たりの残高が高く、県民負担が多いことがうかがえる。
九州7県のなかで唯一、県債残高、県民1人当たりの県債残高ともに微量ながら減少しているのは宮崎県。しかし、財政状況が好転しているとは言い難い状況がある。2010年に宮崎県南部を中心とした口蹄疫の流行の影響により、口蹄疫対策転貸債等として県債を1,200億円発行したことで、それまで9,000億円前後で推移していた県債残高が一気に1兆台に跳ね上がったためである。
次回、最後に九州内3政令指定都市の市債残高の状況、そして浮かび上がった問題についてみていく。
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