<中小企業再建におけるP/L支援の必要性>
企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)は、全国に専門家・ターンアラウンドマネージャー(TAM)のネットワークを有する、中小企業の企業再建や企業承継の専門家集団。税理士・会計士、中小企業診断士、経営コンサルタント、弁護士、金融機関OBなどさまざまな人材を抱えており、問題を抱えた企業との面談によって適材適所の専門家を紹介するシステムを構築している。
CRCは現在、累計約300社の企業支援を実施している状況にある。2012年8月より、政府による中小企業支援を行なう支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行なう「経営革新等支援機関」を認定する制度が始まり、CRCも13年3月に支援機関として認定を受けた。本制度の本格的な運用開始を1つの契機として、CRCへの新規委託案件も増加傾向にあるという。
企業再建に当たっては、バランスシート(B/S)の改善だけでなく、損益計算書(P/L)の改善が不可欠になる。この点について、CRCの代表理事の真部敏巳氏は、「残念ながら、2000年の民事再生法の施行や01年の私的整理ガイドラインの制定等から始まるとされる企業再建支援の歴史を振り返ると、B/S改善による金融調整に基づく再建支援が中心となってきたのは間違いありません。とくに、中小企業再生支援協議会を中心とした公的機関による再建支援は、ほぼすべてがB/S中心の支援となってきました。もちろん今後も、B/S改善支援の重要性を否定するものではありませんが、悩める中小企業にとって必要なのは、いかにP/L改善を図っていくかです。そのためのモニタリングや、TAM(企業再建を企業内で行なう人材)等による実行支援が中小企業再建にとっては不可欠であると考えています」としている。
金融関係や税理士、会計士などの数字を扱う人々は、どうしてもB/Sを重視し、財務状態の良し悪しで企業の体力を測りがちである。しかし、企業の存続意義とは、継続してキャッシュを生み出せる力があるかどうかであり、それを客観的に図るためにはP/Lにこそ注目しなければならない。P/Lを見直すこと―わかりやすく言えば、日常業務を見直すことこそが重要になってくる。そのため、中小企業の再建支援にあたっては、財務・会計に関する調査だけでなく、事業面の経営戦略・運営管理に関する調査も必要になる。
「中小企業もB/Sが悪いとばかり言われていては、再建努力をする前に意気消沈してしまうかもしれません。しかしP/Lで見ると良い面もあり、それを強みにできるとわかれば意欲も湧くでしょう。企業再建は人的資源にかかっていますから、やる気を起こさせることはとても大切ですね」(真部氏)。
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<COMPANY INFORMATION> 代 表:真部 敏巳 所在地:東京都千代田区神田司町2-2-7 パークサイド1ビル6F 設 立:2001年6月 TEL:03-5296-2224 URL:http://www.CRC.gr.jp/<PRESIDENT PROFILE>
真部 敏巳(まなべ・としみ)
(株)リクルート住宅情報、(株)リクルートコスモス(現・コスモスイニシア)流通営業部を経て、公認会計士事務所の不動産関係会社社長。1992年、(株)アセットパートナーズを設立後、2001年に企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)を設立し代表理事に就任。現場の第一線で企業再建・承継コンサルタントとして全国行脚。
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