日本では「テレビ離れ」が加速しているが、韓国では「『テレビ離れ』は進んでいるものの、日本ほどではない」と言う。
日本在住の韓国人通訳者は「日本ではコンテンツの質が落ちており、『テレビ離れ』が明らかだが、韓国ではドラマや国の圧力に屈しない『ケーブルテレビ』の報道番組、脱北関連トーク番組など、視聴者をひきつける番組がまだまだあり、テレビが求心力を持っている」と話す。
特に「ドラマ」部門においては、日本は「マンガ」原作の作品をドラマ脚本化する傾向が強まり「現実離れしている」「無理がある」などとして、「視聴率」も「広告効果」も落ちている。韓国では「現実」に即したフィクションが多数作られているため、「ドラマ離れ」は起きにくいし、日本や中国に番販(番組販売)をかけても「売れるコンテンツ」としての評価が高い。
約2年前に韓国で流行したドラマに「韓半島」がある。「韓国と北朝鮮が統一され、新しい大統領選びに恋愛劇が絡みあったストーリー」だ。韓国と北朝鮮の統一は遠い話のように感じてしまうが、ドラマでは、嘘のように思えない「現実感」があったという。ほかにも「北朝鮮から入ってきたスパイが、韓国でどう生きていくか」を描いた「コメディ」ドラマも生まれ「南に入国したものの、ぐうたらな生活やコンビニでアルバイトをして痛い目に遭う北朝鮮スパイの姿」が韓国人視聴者にかなりウケたという。
前述の韓国人は「日本の作品を見ても、突然お化けが出てきたり、あり得ない状況が挿入されたりして、水を差された気持ちになる。韓国の作品は『フィクションだけどあり得る』という前提で描かれているから見ていられる」と分析する。
日本では「白い巨塔」「半沢直樹」などの作品がヒットを飛ばしたが、マンガ原作ではなく「現実をヒントにした作品」だ。映画でもドラマでも、韓国の作品は、日本でもヒットするドラマと同様、骨子がしっかりしたものが多い。北朝鮮との対峙、軍事政権の残像など、現実世界に「緊迫感」があることの裏返しでもあるが、作品を通して「何かを訴えよう」という力強さがあるのも事実。先月発生した「旅客船沈没事故」でも、複数のプロデューサーが、既に映画やドラマでの「作品化構想」を描き始めているという。
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