◆大手金融機関の収益状況
アメリカの景気回復や円安・株高を背景に、14年3月期決算は過去最高益を記録する企業が続出。日本経済は安倍政権が打ち出したアベノミクス効果の恩恵を受けて、久々に明るさを取り戻している。
金融機関においてもメガバンク(三菱東京UFJ・三井住友・みずほ)グループ3社の14年3月期の決算は、(1)株価の上昇で保有する株式の評価額や株式の売却益が増えたこと。(2)グループの証券会社の業績が改善したこと。(3)不良債権の処理費用が大幅に減少したこと、などを主因として、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の最終利益(当期純利益)は、前年度より15%増加して9,848億円、三井住友FGは5%増の8,353億円、みずほFGは22%増の6,884億円となり、3社共に過去最高益を達成している。
しかし、15年3月期の決算予想については、貸出競争の激化による利鞘の縮小で収益を伸ばすことが一段と難しくなるうえ、4月からの消費増税や株価の低迷など、収益環境が厳しくなるとの見方から、最終利益については、三菱東京UFJグループは9,500億円(前期比▲3.6%)、三井住友グループは6,800億円(前期比▲18.6%)、みずほグループは5,500億円(前期比▲20.2%)と、慎重な見方をしている。
◆地域金融機関の収益状況
都市部を拠点とする大手銀行を始めとして、証券業界など金融機関を取り巻く環境は大幅に改善傾向にある。一方地方は人口の減少や地域経済の縮小で厳しい経営環境のなかにあると言われている。しかし安倍政権が打ち出した成長戦略や日銀の金融緩和策によって、先日発表された地方銀行の決算もおおむね好決算となっている。これから九州・山口・広島の地銀(22行)の14年3月期の決算内容を検証していくことにしたい。
1.収益状況について
上記表1を参照して頂きたい。22行中当期純利益が前年比増加した銀行は17行、マイナスとなった銀行は5行と、メガバンクの決算と同様、与信費用の減少や日銀の金融緩和策にともなう債券売買益などが貢献し、増収の銀行が大勢を占めている。一方15年3月期の収益予想(通期)については、一転してマイナス予想の銀行が16行、増加予想の銀行は6行と、慎重な見方をする銀行が多くなっていることがわかる。
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