NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、集団的自衛権をめぐる憲法解釈問題をめぐり、御用評論家や御用記者(茶坊主)を痛烈に批判している、5月20日付の記事を紹介する。
「集団的自衛権の行使容認の憲法解釈変更」と表現すると、「憲法の解釈を変えれば集団的自衛権の行使が憲法の規定に反しない」との誤解を招く。しかし、実際は違う。憲法の条文は、集団的自衛権行使は禁止されているとしか読みようがない。
実際、日本政府は、「憲法の規定により、集団的自衛権の行使は容認されない」との公式見解を示し続けてきた。ところが、安倍晋三氏は現行憲法下で集団的自衛権の行使を認めることを政府として公式に決定しようとしている。これは「憲法解釈変更」ではなく、「憲法の規定無視」、「憲法否定」、「憲法破壊」である。
日本国憲法第99条は、公務員の憲法尊重擁護義務を定めており、安倍氏の行動は憲法第99条違反である。集団的自衛権の行使を容認したいなら、憲法を変えることだ。これが人の道である。創価学会は、「集団的自衛権の行使を容認するなら憲法を改定する必要がある」と主張しているが正論である。
これから1カ月の日本政治最大の焦点はこの問題だ。公明党が反対を貫けば、閣議決定できない。公明党が反対しながら閣議決定するなら、連立の組み換えが必要になる。政界再編である。こんななかで、御用評論家として著名な田崎史郎氏が、安倍政権を応援する見解をまき散らしている。田崎史郎氏といえば、本ブログでもたびたび取り上げてきた、御用評論家の代表格の一人である。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-3f71.html
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-656a.html
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-4b49.html
この田崎氏が、集団的自衛権について、「現代ビジネス」サイトに文章を掲載している。タイトルは、「すでに論理破綻!?集団的自衛権の解釈変更で追い詰められる公明党」だ。
内容は分かりやすい。集団的自衛権行使を容認するなら憲法を改定すべき」との創価学会の見解に公明党が従うことをけん制する文章である。公明党が連立離脱を決断しない限り、安倍政権に押し切られるだろうとの見方を示している。
この記事掲載の日付が5月19日。その直前に田崎氏はある人物に招かれて会食している。ある人物とは、安倍晋三氏である。東京新聞:「首相の一日」5月15日欄、「8時6分、東京・西新橋のすし店『しまだ鮨』。田崎史郎・時事通信解説委員、島田敏男・NHK解説委員ら報道関係者と会食。10時15分、東京・富ヶ谷の私邸」毎日新聞:「首相日々」も同文。朝日新聞:「首相動静」には、「時事通信の田崎史郎・解説委員、毎日新聞の山田孝男・特別編集委員、曽我豪・編集委員らと会食」。ジャーナリストも落ちぶれたものである。
御用記者をジャーナリストとは呼ばないが、こういった輩を「茶坊主」と呼ぶ。公明党に集団的自衛権行使容認を容認させるための工作活動が展開される。島田敏男氏はNHKの茶坊主。NHK茶坊主代表のもう一人は大越健介氏。田崎史郎氏は時事通信社所属の茶坊主である。腐った国ニッポン。恥ずかしい国ニッポンである。
※つづきはメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第868号「『あべさまのNHK』はこうやって作られた」で。
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