大飯原発運転禁止を命じた福井地裁判決は、福島原発事故を受けて、裁判所が被害をどう防ぐかの基本、原発を巡る安全性の判断の基本を打ち出したといえる。判決は、新規制基準に適合するかどうかを判断基準にする従来の延長線の議論をまったく問題にしなかった。
<裁判所に課せられた責務とは>
判決は、技術の危険性の性質やその被害の大きさが明確でない場合、差し止めの判断は困難だが、判明している場合、それ程度に応じた安全性が求められるとして、「福島原発事故によって原発技術の危険性の本質とその被害の大きさは明らかになった」「そのような具体的危険性が万が一でもあるかどうかが同訴訟の判断の対象だ」として、福島原発事故後にその判断を避けることは「裁判所に課せられた最も重要な責務の放棄」とまで述べた。
福井地裁の判決は、被害の程度に応じた安全性が求められ、すでに福島原発事故が起きた以上、大きな被害になる危険性が事実上推認され、国や電力会社が安全だという反証をしなければ、原発の運転差し止めが認められるという考えを示したものだ。
しかも、裁判所が指摘した「安全性の欠陥」は単なる疑いではない。判決はこう述べている。「(大飯原発3、4号機の安全技術・設備について)万全ではないのではないかという疑いが残るにとどまらず、むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに成り立ち得る脆弱なものと認めざるを得ない」...(⇒つづきを読む)
◆スペシャリスト企業経営ネットはこちら >>
スペシャリスト企業経営ネットでは企業経営に関する情報を一括閲覧できるようにしております。
※記事へのご意見はこちら