福岡商工会議所、釜山商工会議所、福岡市、釜山市が主催する「福岡―釜山ビジネスCEOフォーラム」の4回目が5月22日、福岡市内のホテルニューオータニ博多で開催された。参加者総数は、日本側110名、釜山側30名の合計140名。今回は「福岡―釜山超広域経済圏形成のための実質的なビジネス交流について」をメインテーマとし、両商工会議所の代表、末吉紀雄会頭と趙成濟会長が、「今回のフォーラムが、両地域間の経済交流を促進し、実質的なビジネスパートナーを見つける契機となることを願います」などと挨拶した。先月韓国で起きたセウォル号転覆事故の犠牲者に対し、会場一体となって哀悼の黙祷を捧げた。
同フォーラムは、基調講演と事例発表の2部構成で、国境を越えたビジネス協力のあり方について議論した。
基調講演では、駐福岡大韓民国総領事館総領事の朴鎭雄氏と、釜山発展研究院先任研究委員の琴性根氏が講演。朴総領事は不安定な日韓情勢を指摘し、「関係の悪化は、双方の利益に悪影響」とした上で、九州には、両国の葛藤を緩和する緩衝材、そして相互交流を促進するためのモデル地域としての役割が期待されると述べた。
ビジネス事例発表では、福岡側2名(エントリーサービスプロモーション(株)、福岡運輸システムネット(株))、釜山側2名((社)釜山蔚山ベンチャー企業協会、釜山観光公社)が、これまでに成功させた共同ビジネスの取り組みと、今後クリアされるべき課題を提示した。
福岡運輸システムネット(株)は、韓国の物流企業の大宇ロジスティクス(株)との合併で釜山国際物流(株)(Busan International Distribution Center Inc.)を設立、釜山新港に2万4,651坪の施設を保有し、FTZ(フリートレードゾーン)を活かした物流事例や、また事業展開のなかで生じた問題について説明した。実践を踏まえた立場から見えた、海外との共同ビジネスで広がる可能性や障壁を語った。
(社)釜山蔚山ベンチャー企業協会会長の金敬祚氏は、韓国でのベンチャー企業は「技術性が高く、支援する価値があると政府に認定されたもの」と説明し、これまでに達成した、数々の協力事業プロジェクトを紹介した。その上で、福岡と釜山がまだまだ親善交流にとどまっている現状を述べ、両市の企業が共同ビジネスを成功させ、ともに発展していく重要性を指摘。まずは相互訪問で親善交流を深めたのちに、共同ビジネス領域を導出、製品商用化に向け共同研究活動を創出し、そして期限内に生産可能な試作品の開発へと導く、具体的な4段階のプロセスを提案した。
フォーラムでは、韓国側から日韓関係の不安定さや政府間の摩擦などに触れる発言があった。しかし、福岡―釜山の共同ビジネスの成功へと向けた、政治的関係の悪化にとらわれずにお互いに足りない点を踏まえ、ビジネスにおいて挑戦的で持続的な協力体制を作り上げるための取り組みや、それを支援する場があることを確認した。
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