<ロックアイスが誕生して40周年>
コンビニエンスストア(以下、コンビニ)やスーパーなどの小売店で、必ず見かけるようになった袋詰めの氷。アメリカではどこの店舗にも当たり前にあったものを、日本の地で本格的に販売したのは40年前。東京都江東区にあるコンビニだった。そこで取り扱われた商品こそが「ロックアイス」。誰しもが一度は必ず手にしたことがあるであろう袋詰めの氷の製造販売を手がけたのが、(株)九州コクボの親会社である小久保製氷冷蔵(株)の現社長・小久保歓氏である。
同社は従来、石油プラント会社として1929(昭和4)年に東京の江戸川区で創業。現在の事業とはまったく無縁の商売を行なっていた。戦後、GHQの命令により軍需産業であった石油関係の仕事ができなくなったことで、石油プラントの冷凍設備を活かした製氷会社を設立。思いのほか氷が飛ぶように売れたのだが、昭和30年代に家庭に電気冷蔵庫が普及した関係で氷の需要が激減し、一転して冬の時代を迎えた。そんなとき、千葉県習志野市にある氷問屋の主人が、試しに袋に氷を入れたものを販売したところ好評だったことで、同社に「本格的にやってみないか?」と打診があった。どうしようか悩んでいたとき、3代目社長の歓氏が、ハワイのスーパーで『ぶっかき氷(砕いた氷)』が袋詰めで売られているのを見て、「よし、やってみるか」と決断。73年10月、同社の看板商品である「ロックアイス」の誕生に至った。
40周年を迎えたロックアイスは現在、全国のシェア60%以上、九州地区においては75%以上を有する言わずと知れた人気商品である。『最高品質の商品をより多く、より安く』をスローガンに、スタート時から変わらぬアイス缶による製法を守り続けている。同社の氷は、無色透明で美しい。不純物を取り除いたこと、氷の結晶が大きいこと、この2つの要素を兼ね備えたことで、『溶けにくい氷』の開発に成功。消費者に支持されてきた。まさに氷を武器に商売を行なってきた同社だが、今までに一度だけ商品を欠品させる事態を招いたことがある。今から20年前、94年の記録的な猛暑により、商品供給が追い付かなかったのだ。この反省を活かし、製造部門、販売網を整備。この流れで96年8月、九州地区でのロックアイス製造を目的とした(株)九州コクボが設立された経緯がある。
設立から18年目の今年4月中旬、同社は自社が稼働する大分県日田市の工場敷地内を増設した工場を稼働させる。従来の売上高から、今期は4倍増を見込んでいる。増収見通しには理由があり、主要取引先のコンビニエンスストアのカフェ事業が絶好調であることを受けてのものだ。
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:小久保 龍平
所在地:大分県日田市三ノ宮町2-1798
設 立:1996年8月
資本金:1,000万円
TEL:0973-27-7369
URL:http://www.kokuboice.co.jp/
<PRESIDENT PROFILE>
小久保 龍平(こくぼ・りゅうへい)
1976年、千葉県生まれ。近畿大学九州工学部経営工学科を卒業後、2000年4月に高知の食品卸「旭食品」近畿支社に入社。その後、02年4月に小久保製氷冷蔵(株)に入社後、常務取締役を経て12年12月に代表取締役副社長に就任。(株)九州コクボでは11年6月に社長に就任した。趣味はゴルフ。
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