3.貸出金残高について
◆上記表から見えるもの
(1)第1位の福岡銀行は7兆2,400億円、第2位は西日本シティ銀行の5兆8,500億円。その差は約1兆4,000億円で、前期よりもさらに約1,000億円も差が広がっており、福岡銀行が独走する様相を呈している。
(2)第3位の広島銀行は4兆8,000億円で、第4位の山口銀行は3兆3,000億円。その差は約1兆5,000億円と、前期よりもさらに850億円ほど差が広がっている。山口・広島でも福岡銀行と同様に、広島銀行が独走しているのがわかる。
(3)第5位の肥後銀行は2兆5,500億円、第6位の鹿児島銀行は2兆4,200億円。前期には約2,000億円の差があったが、その差は1,300億円に縮まっており、このままで推移すれば近々肩を並べることになりそうだ。
(4)第7位のもみじ銀行は1兆9,200億円、以下大分、宮崎、親和、十八、佐賀銀行と続き、熊本銀行が1兆300億円で、第13位までの7行が1兆円台の銀行。
このグループのなかでは、宮崎銀行が前期より1,144億円(8.0%)と大幅に増加させ、肉薄してきた親和銀行を突き放した格好だ。
(5)第14位の北九州銀行は8,000億円、第15位の西京銀行は7,300億円、第16位の南日本銀行が5,400億円で、この3行が1兆円未満~5,000億円以上となっている。
ただ、このなかで気になるのは、山口銀行から経営分離して2年半(設立2011年10月)となる北九州銀行の貸出金が、前期比5.1%増と伸び悩んでいることだ。
一方、西京銀行は前期比636億円(9.6%)と大幅に増加させている。山口県内で圧倒的な力を持つ山口銀行の前期比738億円増((2.3%)と遜色のない、互角の戦いを挑んでいるのが目立つ。
(6)第17位以下は5,000億未満で、宮崎太陽銀行は4,400億円、以下、筑邦銀行、豊和銀行、長崎銀行となっており、最下位は佐賀共栄銀行の1,600億円。
このグループでは貸出金が低迷している。とくに大分県を地盤とする大分銀行が前期比958億円と大幅に増加しているのに対し、同じ地盤の豊和銀行は前期比▲4億円と苦戦している。
また、第一地銀の筑邦銀行も前期比87億円(2.1%)の増加にとどまっており、他の第一地銀との格差はさらに広がっている状況となっているのがわかる。
(7)基本的に貸出金は収益を生む源泉であり、そのボリュームが小さければ収益力は弱い。貸出金が5,000億円以下の銀行6行のうち、すでに長崎銀行は西日本シティ銀行の子会社となっており、残る5行もいずれ上位銀行と提携、もしくは吸収合併される道を模索することになりそうだ。
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