5月23日、ホテルオークラ東京が、老朽化のため本館を建て替える方針を明らかにした。2020年の東京オリンピックを見据え、15年8月末に閉館し、19年2月末に完成させる計画。総事業費は1,000億円以上になる見通しだ。同ホテルがある虎ノ門地区では、6月11日、東京都と森ビルが手がけた「虎ノ門ヒルズ」が開業。今、東京ではこの虎ノ門から六本木にかけての再開発が盛んだ。
<高層化が進む>
今回建て替えられるホテルオークラ東京は、隣にアメリカ大使館があり、4月に訪日したアメリカのオバマ大統領が宿泊したことでも知られる。新しい施設は、高さ200mの高層棟と、80mの中層棟の2棟からなり、客室数は550室(現在は400室)に増やし、高層棟にはオフィスも入居する予定だ。
その北側の、虎の門病院、国立印刷局本局・虎の門工場、共同通信会館が建つ区域では、UR都市機構による再開発「(仮称)虎ノ門二丁目計画」の概要が、13年12月に明らかとなった。延床面積約25万5,000m2、最高高さ179mのオフィスビルや虎の門病院の新病院が建設され、2023年度に全体供用開始される予定。
この一帯は、国際戦略総合特別区域の「アジアヘッドクォーター特区」、および「特定都市再生緊急整備地域」の「東京都心・臨海地域(環状2号線新橋周辺・赤坂・六本木)」内に位置しており、再開発スポットとしての制度的な裏付けもある。
アジアヘッドクォーター特区とは、2016年度までにアジア地域の業務統括拠点・研究開発拠点を設置する企業50社を含む、外国企業500社以上の誘致を目的に設定された特区。また、特定都市再生緊急整備地域とは、国土交通省によれば、「昨今の成長が著しいアジア諸国の都市と比較し、我が国都市の国際競争力が相対的に低下」しており、「官民が連携して市街地の整備を強力に推進し、海外から企業・人達を呼び込む」ため、「都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進」する、政令で指定された地域のこと。
そのため、これらの地区では、これから海外のビジネスマン向けのオフィスやホテルを中心に再開発が進むと見られる。
2013年10月、住友不動産が「六本木三丁目東地区第一種市街地再開発事業」の概要を発表。東京メトロ南北線の六本木一丁目駅の西側に隣接した約1万9,000m2の区域に、高さ約249mのオフィス棟(40階)、住宅棟(27階)、商業棟(3階)の3施設で構成される大規模複合開発。延床面積は約20万m2の、住友不動産のフラッグシッププロジェクトとなる。
住友不動産は02年、六本木一丁目駅の東側に「泉ガーデン」という複合施設を建設していた。また、森ビルが「アークヒルズサウスタワー」を建設し、駅東は開発が進んでいた。対して駅西は、高低差のある立地特性、老朽化したビルなどの混在により、駅前拠点としての機能が不十分だったという。
六本木三丁目から400mほど北東に向かうと、今度は新日鉄興和不動産が13年9月に、「赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業」の概要を発表した。東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅に近接した約1万6,000m2の区域に、延床面積17万5,300m2あり、建物の高さは約200m、地上37階の大規模複合施設が17年4月に竣工する予定だ。
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