6月4日に韓国全土で投開票される統一地方選挙。市長、道知事等の首長選挙も行なわれるが、争点は4月に発生した旅客船セウォル号沈没事故だ。事故への対応、救助の問題から与党・セヌリ党のパク・クネ大統領への批判が高まり、政治不信からセヌリ党は大幅に票を落とすのではないかとも言われている。
事故後1カ月経過しての涙の謝罪会見でも「嘘泣きには見えなかったが、なぜ事故当時、涙も謝罪もなかったのが、1カ月経っていきなり涙を流すのか」「公の場で涙を流すべきではない」といった批判もある一方で「誰が大統領をやっていても事故は防げなかった」「韓国船舶業界の構造に問題があり、大統領の資質の問題にすり替えるのはおかしい」といった擁護論もある。
日本在住のある韓国事情通は「選挙のタイミングが非常に『微妙』だ。あと3週間でどういう世論が形成されていくのか、パク大統領の謝罪会見には賛否両論あった。しかし、『コンクリート支持層』と呼ばれるパク・クネ氏の父であるパク・チョンヒ元大統領(故人)からの支持者は『女性に涙させるほどに追い込む必要がない』という同情論も多く聞かれる。選挙戦までの残り期間で、パク・クネ大統領にとって国民の神経を明らかに逆撫でするような事象が発生するかどうかによって変わるだろう」と話す。
今回は、ソウル、釜山など大都市の市長も選ばれるが、「ソウル市長のパク・ウォンスン氏で野党の新政治民主連合。今回の選挙にも出馬し、セウォル号での追い風が若干でも野党に吹くことを考えると『再選』は固いのではないか」と事情通は分析する。
一方、最も注目を集めるエリアは「釜山市」。現在はホ・ナムシク市長だが、既に3期目で、次回選挙には出馬しない。新人2名の「一騎打ち」と言われているが、どちらもクリーンなイメージの有名人物。元海洋水産部長官のオ・コドン候補は無所属だが、野党新政治民主連合の支援を得ており「釜山の既得権勢力を打破する」という目標を掲げている。釜山は歴史的にセヌリ党が優勢で、今回もパク・クネ氏の「右腕」と呼ばれてきた人物が出馬。事情通は「若い年代がセウォル号沈没事故を受けて投票に行くかどうか・・・、投票率が上がれば野党の得票数が増え、釜山の『セヌリ党による支配』が終わる可能性も出てくる。野党全体も事故後の流れを受け、複数の候補を乱立させるのではなく、『候補を単一化してセヌリ党を倒そう』という流れになっている。釜山でも、有力候補が二人いたが、支持の多かったオ・コドン氏に絞った」と説明する。
その他、野党が強いとされる京畿道(キョンギドー)の首長選びにも、民意がどこまで数字となって表れるのか、今回の統一地方選の「象徴」として注目が集まっている。
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