<小倉中心部のまちあるき-8->
前回までに数々のご紹介をさせていただきましたが、そうこうするうちに、このフォーラムは終了です。
このシリーズ最後に、フォーラムの総括を「第3回日本まちあるきフォーラムIN北九州報告書」から行なっておきます。
3日間の延べ参加者人数は683名でしたが、まちあるきに参加した方の意見を拾うと、「北九州に初めて来た。今の小倉のまちと歴史を知るこができた。食べ物屋が多く、説明もあったので実際に食べてみたかった」(神奈川県小田原市からの参加者)、「ガイドが女優さんなので表現力があり、地元の年配の方の活き活きとした語り方とあいまって両方で良い味を出している。ガイドが外から来た人と聞いて驚いた。このような手法に刺激を受けた」(青森県からの参加者)、「同じ港町なのに函館と全然違うと感じた。環境修学旅行や産業観光など、函館にはないものだったので、それを今からつくることはできないが、3年後の新幹線開通に向けて、函館もいろんな着地型観光をやっていきたい」(北海道函館市からの参加者)といったものでした。
各地からの参加者にかなりの刺激を与えることができたのは間違いないようです。
この報告書を読んでいて印象に残った点を1つだけ。私が参加していない分科会でのJTBの方の発言を以下、要約して記述します。
「着地型観光は、実現がとても難しい。客単価が低い割に、事業リスクが高い。事業採算に乗せるのは簡単ではない。しかし、JTBがこうした事業に取り組むのは、北九州市の資源が夜景観光にあることもあるが、顧客のニーズがバラエティに富んできたことが主な原因である。以前は、旅行の目的は、滞在地に行くことであった。しかし、今日、旅行の目的が何をするか?というところにある。言わば、滞在地はどこでもいいので、貴重な経験ができるかどうかにあって、このニーズを汲み取ることが、今後の旅行業を左右する」とのこと。
まさに体験型観光、着地型観光のあり方を示唆していると言えるでしょう。
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(株)地域マーケティング研究所
代表取締役:吉田 潔
和歌山大学産学連携・研究支援センター客員教授、観光学部特別研究員、西日本工業大学客員教授
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