4.預貸率について(1)
預貸率とは、集めた預金をどれぐらい貸出に回しているかを見る指標である。預貸率が高い銀行ほど集めた預金を融資に回し、安定した収益を生み出すことができるとともに、地域経済の活性化に有効に活用していること言えるが、貸出による不良債権化のリスクは増大することになる。
反面預金は集まらないが、融資を増やさないと収益が上がらないため、やむなくリスクを覚悟で預貸率が高い銀行もあり、預貸率が高ければ良いというものでもない。
一方預貸率が低い銀行には、貸出を増やしたくても融資する企業が少ないため、やむなく債券や有価証券で運用せざるを得ない状況の銀行も多いが、ただ言えるのは、集めた預金を地域経済活性化のために有効に活用できていないという指摘も間違っていないのかもしれない。
下表は預貸率のランキング表である。この表からそれぞれの銀行が抱えている事情を読み取ることができる。
◆平均預貸率は73.4%となっており、22行中11行が平均以上で、11行が平均以下と丁度半々となっている。まず第1位から第11位までを見てみよう。
◆上記表から見えるもの
(1)第1位の北九州銀行は97.0%であるが、山口銀行から九州地区の営業譲渡を受けた特殊事情による。設立当初預貸率は100%を大幅に超えていたが、14/3月期でオーバーローンは解消となっており、今後預貸率は下がっていくものと見られる。
(2)第2位の長崎銀行(西日本シティ銀行の子会社)が91.3%、第5位の南日本銀行は80.0%、第6位の佐賀共栄銀行は79.1%、第7位の福岡中央銀行(ふくおかFG系列)は78.2%、第8位の熊本銀行(ふくおかFG傘下)は78.0%、第9位の豊和銀行は76.2%。預貸率が高い上位11行のうち6行が第二地銀であり、預貸金のボリュームが小さいため、精一杯の貸出をしないと収益が確保できないことが大きな要因と言えそうだ。
(3)第3位の西日本シティ銀行は84.1%、第4位の福岡銀行は83.5%。福岡市を拠点とする両行には旺盛な資金需要があることが分かる。第10位の広島銀行は75.6%、第11位の宮崎銀行は貸出金を前期比1,144億円(8.0%)増加させたことから、預貸率は72.05%から74.4%に上昇。この4行が平均預貸率を上回る。預貸率が高くかつ貸出ボリュームが大きいほど、収益力が高いことを示しているのが下表2である。
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