九州電力玄海原発の運転差し止めを求めている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)は5月27日、九州電力本店を訪れ、玄海、川内原発の再稼働に反対し、無期限の運転停止を要請した。要請は、「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」(野中宏樹共同世話人)、「反原発・かごしまネット」(向原祥隆代表)との共同。要請では、関電大飯原発の運転禁止を命じた福井地裁判決にふれて、「誰もが保障されるべき人格権をもって、玄海・川内原発の再稼働を無期限で止めること」を強く要請した。
応対した九電の担当者は「社長ら経営幹部に伝える」と述べた。
要請では、再稼働をめぐって「みんなで止める裁判の会」が3月5日に九電に出した質問状への回答をただした。同じ玄海原発に関する地震の想定にもかかわらず、基準地震動と基準津波で評価方法が異なっている問題や、避難計画など、九電側は具体的な回答を用意していず、たびたび「(次回までに)確認します」との回答に逃げた。
過酷事故が起きた時の損害賠償額の想定について、九電側は「損害額を想定できないので、計算していない」「青天井でいくらでも賠償する」「事故が起きないようにするのが(わが社の)大前提だ」と回答。避難計画について、「要援護者を含め地域住民の避難計画について、さまざまな面で、できるだけ支援協力する」と述べたものの、具体的な問題を問われると、「我々にできることは通報すること」と回答するにとどまり、具体的な支援協力の中身、自治体の避難計画策定にあたって直面している問題点などにまったく答えなかった。自治体の避難計画の人数についても「報道されているのは30万人の規模」と答えるだけで、自治体ごとの人数を回答できなかった。
また、福井地裁判決について「関電が控訴しているので、当社として特段コメントすることはない」と回答した。
石丸代表、野中共同代表らは「まったく他人事なのですか。九電も当事者の一員だ」「避難で何が問題になっているか、計画の人数さえ把握していない。人口1万人の太良町に8,000人が避難する。避難場所は、1人2平方メートル。避難生活は、非人間的だ」と指摘し、「命の賠償をどうするのか。福島の避難所を見たことあるのか。命にかかわる原発を再稼働すべきではない」と強く求めた。
要請後、石丸代表は「万が一過酷事故を起こせば、九電が加害者になる意識が欠落している。だから、再稼働する結論になる」と、九電の不誠実な回答・態度を批判した。
質問状では、これらのほか、免震重要棟内の緊急時対策所の完成が2015年度末にもかかわらず、それまでは代替施設で対応することの不十分さ、炉心溶融した核燃料を受け止め外に出さないようにするコアキャッチャーを設置する必要性などを問いただしている。
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