東日本大震災で被災した飼い犬を含む保護犬120匹が、豊かな自然に恵まれた福岡・秋月へ。震災直後に被災地に入り、飼い主と生き別れになっていたペットなど、さまざまな動物たちを救った一般社団法人UKC JAPAN(本部:京都府亀岡市、細康徳代表)。同法人は延べ約1,000匹もの犬や猫などを保護し、神奈川県寒川町に設けた仮設シェルターでその世話を続けてきた。震災から約3年2カ月間、大部分が飼い主や里親に引き取られたが、残された犬たちの負担を考慮した上で移転を決意。5月26日、土地の提供を申し出た朝倉市のドッグトレーナー・田辺久人さんが運営する青雲ドッグスクールの敷地内に移動した。現在、福岡におけるボランティアを募集している。
散歩を求めて元気に吠える犬たちを見ながら、「緑が豊かなところで、犬たちも故郷(福島)に戻ってきたと思っているかもしれませんね」と、代表夫人の細清乃さんは笑顔をこぼす。着工の遅れから、犬舎は建設中であるが、犬たちは数匹ずつ交代でお散歩。心地よい初夏の風を受けながら、土の上を気持ちよさそうに歩いていた。
寒川町のシェルターで支援を続けてきたボランティアの人たちは、引越し作業にも協力し、20名ほどが福岡の移住先に同行したという。その1人が、横浜市から2時間かけて寒川町へ通い、約3年間ボランティアを続けてきた伊藤さん。東日本大震災の発生後、インターネットで調べてUKC JAPANのブログから、神奈川県で保護活動が行なわれていることを知って駆けつけたという。
凄惨な震災で受けた恐怖や飼い主との離別といったストレスで、精神的に不安定になる犬たちは少なくはなかった。「もともと福島の犬たちは、都会に比べてずっと自由な環境で暮らしていたこともあって、ゲージに入れられる保護生活は辛いはず」と、伊藤さんは振り返る。保護数のピーク時には、朝7時から夜11時まで散歩を行なった。そのなかで人と動物の『絆』が生まれた。引越しの前に開かれた里親譲渡会では、世話を続けてきたボランティアから里親になる人たちがいた。長距離移動の負担が心配されていた猫たちはすべて里親に引き取られた。
寒川町では、多くのボランティアに支えられてきたが、新天地の朝倉市では、まだ知名度が低いため、人手不足が懸念されている。「保護数から考えて、1日5人ほど手伝っていただければとても助かります。犬の散歩や犬舎・ゲージの掃除などでできることをお願いします。短い時間でも構いません。汚れてもいい服装でお気軽にいらして下さい」と、細清乃さん。今後は、飼育困難になったペットの保護、犬のしつけ教室やブリーダー養成の活動も行なっていく方針である。
「3年は長かったけど、犬たちと接してきた時間はとても充実していました。犬が大好きな人たちが集まるので、共感し合い、人脈も広がりました。何より里親が見つかった時が嬉しかった。犬も慣れていますし、楽しいことのほうが大きいと思います」と、伊藤さん。一緒に過ごした犬たちとの別れを惜しみつつも、「30日まで、福岡にいるので、それまでに来られた方に、自分が知っている犬たちの個性を伝えたい」と語る。朝倉市の新施設には多くの人々の支援に対する感謝の気持ちを込めて、「おかげさんで」と命名される。
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・(社)UKC JAPAN 公式ブログ
<ボランティアのお申し込み・お問い合せ>
一般社団法人 UKC JAPAN 細 清乃(タッズ母)
TEL:090-1157-2499
E-mail:ukcjapan_satooya@yahoo.co.jp
※ご参加される場合は、事前にご連絡下さい。駐車場有。西鉄甘木駅、長谷山バス停への送迎もいたします。
<新シェルター所在地>
〒838-0014 福岡県朝倉市山見816-3
(青雲ドッグスクール内)
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