九州電力川内原発(鹿児島県)の新規制基準の適合審査が山場を迎えるなか、原子力市民委員会は5月末から6月初めにかけて、再稼働について住民の意見を聞く公聴会や緊急集会を九州で相次いで開く。原子力市民委員会は、脱原発社会をつくるための市民シンクタンクをめざして2013年4月に設立され、原発ゼロ社会を実現するための政策集「脱原子力政策大綱」を4月12日に発表している。
5月31日に川内原発のある薩摩川内市で開くのは、「川内原発再稼働についての自主的公聴会」。原子力市民委員会は「再稼働について、本来、市民の声を聞く場が確保されるべきだが、十分な機会が用意されていない」と指摘し、薩摩川内市とその周辺自治体の住民から幅広い意見を聞く目的で開催する。
6月1日には、熊本県水俣市で、「緊急集会『川内原発の再稼働を考える--鹿児島だけの問題ではない』」を開く(脱原発をめざす首長会議などと共催)。水俣市は、川内原発から40、50キロメートル前後の距離にあり、過酷事故の際の危険と、30キロ圏内の住民の避難受け入れ先の両面を抱える。原子力市民委員会では「鹿児島県内だけではなく、熊本県や近隣県の方々とも、川内原発の再稼働の問題について検討していく必要がある」としている。
緊急集会の主なプログラムは、脱原発をめざす首長会議が「首長会議はなぜ川内原発再稼働に反対し、政府に申し入れたのか 避難計画立案の実態と課題」について、原子力市民委員会が「なぜ川内原発の再稼働は問題なのか 薩摩川内市での『自主的公聴会』を終えて」について、原発避難計画を考える水俣の会が「発足の経緯とこれまで、これからの取り組み」について、それぞれ報告する。
再稼働に向けて、原子力規制委員会は、川内原発の審査を優先的に進めている。大飯原発の運転禁止を命じた福井地裁判決を受けても、政府は新規制基準に適合すれば再稼働を進める方針に変わりはない。一方、避難計画の実効性に疑問が投げかけられている。緊急集会には「住民の命を危うくする再稼働への歯止めをかける」狙いがある。
■緊急集会「川内原発の再稼働を考える――鹿児島だけの問題ではない」
<日 時>
2014年6月1日(日)午後2時~4時
<会 場>
熊本県水俣市公民館2階第一研修室
(水俣市浜町2-10-26)
<出席者>
【脱原発をめざす首長会議】
上原公子(元東京都国立市長、脱原発をめざす首長会議事務局長)
佐藤和雄(元東京都小金井市長、脱原発をめざす首長会議事務局次長)
井戸川克隆(前福島県双葉町長)
【原子力市民委員会】
吉岡斉(九州大学大学院教授、元政府原発事故調査委員会委員、原子力市民委員会座長代理)
荒木田岳(福島大学行政政策学類准教授)
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan 理事)
<参加費>
500円
<問い合わせ>
「脱原発をめざす首長会議」事務局
TEL:03-6851-9791
FAX:03-3363-7562
E-mail:mayors@npfree.jp
■川内原発再稼働についての自主的公聴会
<日 時>
2014年5月31日(土)午後1時30分~4時30分
<会 場>
川内まごころ文学館多目的映像ホール
(薩摩川内市中郷町2-2-6)
<出席者>
吉岡斉(九州大学大学院教授、元政府原発事故調査委員会委員、原子力市民委員会座長代理)
荒木田岳(福島大学行政政策学類准教授)
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan 理事)
滝田紘一(元原子力技術者、元原子力安全委員会事務局技術参与)
<参加費>
500円
<問い合わせ先>
原子力市民委員会事務局
TEL:03-3358-7064
E-mail:email@ccnejapan.com
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