6.自己資本比率について
自己資本比率は銀行経営の健全性を示す重要な指標の一つであり、海外に拠点を持つ銀行は国際統一基準の8%以上、海外に拠点のない銀行は国内基準の4%以上が適用されている。
バーゼルIIは、(1)最低所要自己資本比率規制、(2)銀行自身による経営上必要な自己資本額の検討と当局によるその妥当性の検証、(3)情報開示の充実を通じた市場規律の実効性向上、を3つの柱として策定された。
日本では一部の銀行が07年度3月期からバーゼルIIに移行し、13年3月末まで適用されていた。しかし2007年夏以降の世界的な金融危機を契機として、再度見直しに向けた検討が進められた。金融危機の再発を防ぎ、国際金融システムのリスク耐性を高める観点から、国際的な金融規制の見直しに向けた検討が行われ、2010年にバーゼルⅢが合意成立することになった。
具体的には、自己資本比率規制が厳格化されることとなったほか、定量的な流動性規制や、過大なリスクテイクを抑制するためのレバレッジ比率が新たに導入されることになった。
バーゼルⅢは、世界各国において2013年から段階的に実施され、最終的には、2019年初めから完全に実施される予定になっている。
我が国では金融庁の告示によって14年3月期決算から新基準のバーゼルⅢに基づいて自己資本比率を算出する方法に変更となった。13年3月期のバーゼルⅡとの算出方法の違いを、ふくおかFG傘下の3行(福岡銀行・熊本銀行・親和銀行)を例に比較してみると下記のようになる。
◆この表からみえるもの
(1)福岡銀行の場合、13年3月期(バーゼルⅡ)の自己資本比率は13.26%であったが、バーゼルⅢが適用された14年3月期では10.78%(▲2.48%)と大幅な下げとなった。その理由は分子に当たる自己資本へ算入する基準がより厳格化されたことに加え、分母のリスク・アセットが増加したことによるもので、親和銀行も同様に▲1.15%となっている。
(2)熊本銀行については分母にあたるリスク・アセットは増加したものの、コア資本に算入される引当金92億円(前期比45億円増)などのプラス要因もあり、バーゼルⅢが適用された14年3月期の自己資本比率はわずかではあるが、前期比0.22%の増加となった。
今後銀行は新基準のバーゼルⅢに対応した自己資本比率の向上に、本格的に取り組むことになりそうだ。
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