6.自己資本比率について(2)
自己資本比率は銀行経営の健全性を示す重要な指標の一つである。金融庁の告示によって2014年3月期決算から新基準のバーセルⅢに基づいて自己資本比率を算出する方法に変更となった。
新基準の適用によって、13年3月期の自己資本比率(バーゼルⅡ)に比べ、比率を下げる銀行が17行と大半を占め、アップした銀行は広島銀行などわずか5行だけだった。下表1は九州・山口・広島の地銀22行のランキング表である。
◆この表から見えるもの
(1)バーゼルⅢの適用によって、分母にあたるリスク・アセットが増加し、総体的に自己資本比率が下がっていることがわかる。22行中大きな変動があったのが5行、小幅な変動があったのが13行、順位の変動がなかったのは4行となっており、新基準のバーゼルⅢの適用が各行に与えた影響は大きいものがある。
(2)第1位の山口銀行、第2位の鹿児島銀行の順位は不動だが、第3位だったもみじ銀行が第9位に、第5位の福岡銀行が第10位と大きく下げているのがわかる。一方、第6位だった肥後銀行が第3位に、第11位だった宮崎銀行が第5位に躍進。また第21位だった豊和銀行が2.19%改善し10.08%(前期7.93%)と、初めて10%の大台にのせ、第16位に順位を大きく上げているのが目立つ。
(3)右端の欄に預貸率を併記している。その理由は預貸率が低い銀行ほど、自己資本比率が高い傾向にあるからだ。
第1位の山口銀行は64.3%、第2位の鹿児島銀行は71.7%、第3位の肥後銀行は62.3%、第4位の十八銀行は58.5%。22行中最低の預貸率は十八銀行であり、その次が肥後銀行、親和銀行63.2%、佐賀銀行63.8%、山口銀行と続く。
たしかに自己資本比率は、銀行経営の健全性を示す重要な指標かもしれない。しかし地方銀行のレーゾンデートル(存在価値)は、いかに「地域経済の活性化を図りながら、地域と共生する」かにある。
金融再編のうねりのなかで、今こそ地方銀行に求められているのは、高い預貸率を維持しながら、かつ自己資本比率を高めていく努力をする銀行ではないだろうか。
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