九州電力玄海原発(佐賀県)の操業差し止めを求めている「原発なくそう!九州玄海訴訟」で、佐賀県や福岡県などの居住者582人が佐賀地裁に追加提訴し、原告が合計8,070人となった。追加提訴したのは、佐賀県141人、福岡県329人など20都道府県の居住者とフランス在住者。
提訴後、佐賀市内で報告集会を開き、板井優弁護団共同代表が、大飯原発の運転を禁じた福井地裁判決にふれて、「原発差し止め訴訟で、勝訴判決をとれる時代になった」と述べ、「重要なことは、福島原発事故が起きたことで、裁判所が2度と起きないようにするにはどうしたらいいかを考えたことだ」と指摘した。大飯原発の判決後、原発の積極活用を進めている「原子力国民会議」が各地で全国集会を開いている動きを「もう遅い」と切り捨てる一方、「差し止め判決が確定しても問題が解決するわけではない。元から絶つには、いい判決を勝ち取って、その力で原発を操業できなくする法律をつくることだ。原発差し止め訴訟、福島の事故の損害賠償を求めた訴訟、避難者の訴訟が、大同団結して、問題解決する法律をつくる時代に入った」と呼びかけた。
長谷川照原告団長は、全国の絶原発訴訟原告団が、弁護団に続いて、全国連絡会をつくろうとしている動きを紹介。「各地の原告団が集まることで、10万人、100万人の原告団の力になる」と強調。報告集会では、大飯原発での福井地裁判決に「勇気づけられた」との発言があり、弁護団が同判決の内容を解説した。
報告集会では、玄海原発近くから風船を飛ばし、放射性微粒子がどこまで飛ぶか調査した「風船プロジェクト」の結果や分析をまとめたブックレット『風がおしえる未来予想図』(6月1日発行)が紹介され、「風船が発見された場所まで放射性物質が降ってくる可能性があることが確かめられた」として、「『原発をなくそう』の声を広げるために役立ててほしい」と呼びかけた。
同日発表した原告団・弁護団の声明は、再稼働の審査に用いられている「新規制基準」について、「判決のいう『楽観的見通し』のもとに作られているものなので、安全性を確保する基準ではないことが、より一層明確になった」と、新規制基準が適合したことで再稼働する考え方を厳しく批判。原告団の取り組みで、風船プロジェクトでは放射性物質が数百キロメートルまで飛ぶ可能性があることを明らかにし、公開質問を通じて被曝を避ける実効的な避難がほぼ困難なことを明らかにしたと述べ、「原発再稼働は全体許されない」と訴えている。
全国の原発訴訟原告団は同日、準備会を東京で開催し、「脱原発原告団全国連絡会」を結成することを記者会見で発表した。玄海原発、泊原発、東海第二原発の各創業差し止めや廃炉を求めた訴訟の原告団らが呼びかけたもので、10月頃に全国集会を開く方向。
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