脊振の自然を愛する会(福岡市早良区、池田友行代表)の池田代表は、写真をこよなく愛するアマチュア・フォトグラファーでもある。脊振の環境保全活動を行ないながら、美しい自然の数々をカメラに収め、写真集「脊振賛歌」を発行した。続編が待たれるなか当連載ではフォトエッセイとして、脊振の魅力を紹介する。
<ヤマボウシ ミズキ科 5月末から6月初めに開花>
脊振山系の写真を撮り始めて最も感動したのはこの花との出合いです。
沢沿いの登山道を歩いていると白い花をつけた樹木が目に入ってきました。草木をかき分けて沢に降りると純白のヤマボウシが満開でした。純白の花びら(総包片)は全部が旬でした。
沢に三脚を広げて撮影に入り、レンズを廻すと震える様に美しかったです。葉の反射を押さえるのにPLフィルター(偏向)を廻すと白と沢の暗い部分とのコントラストがまた一段と花びらが輝いて見えました。
撮影が終わると、汗にまみれた胸の内は虫に刺され、あちこちにかゆみを感じました。梅雨時分の撮影は虫たちとの格闘の時間でもあります。
フィルムの現像が上がると思い通りに仕上がっていました。現像を終えたフィルムを受け取る時はいつもドキドキしたものですが、今はデジカメの時代になりこの感動は味わえません。
ヤマボウシは街路樹として見かける事が多くなりましたが、自然のものには敵いません。ハナミズキは外来種でヤマボウシの様に大きな実をつけず、小ぶりの実を数個つけます。私のハンドルネームもヤマボウシです。
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<池田友行氏プロフィール>
福岡市早良区在住。1944年3月生まれ
西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB。ソニーマーケティング(株)退職後、2008年より早良区と共働で、脊振山系道標設事業や脊振清掃登山に取り組み、中心的役割を果たす。
福岡市早良区の野河内渓谷整備に従事中。
「脊振の自然を愛する会」代表(会員100名)
早良区役所主宰の『早良みなみ塾』自然環境分科会代表
写真集『脊振讃歌』著者
各地で写真セミナー開催、『西日本新聞フォト随想』掲載。
西日本新聞 「風」に、脊振での活動が紹介される。
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