7.九州・山口・広島の県別貸出金について(2)
前回に引き続いて下表の内容について検討をしていくことにしたい。
◆この表から見えるもの
(1)県別の貸出金を見ると、ほぼ人口に比例しているのが分かる。福岡県の貸出金は14兆6,600億円で断トツのトップ。続いて第2位は広島県で6兆7,300億円。第3位は山口県(人口142万人)で、熊本県(180万人)の3兆5,800億円、鹿児島県(167万人)の2兆9600億円を抜いて、4兆200億円となっているのを除けば、人口に比例して貸出金が推移しているのが読み取れる。
(2)そこでなぜ山口県が第3位なのかについて調べてみることにした。
・山口銀行と西京銀行の貸出金合計は4兆279億円に対し、山口県内への貸出金は2兆3,288億円(57.82%)で、1兆6,991億円(42.18%)が県外貸出となっている。西京銀行の県内貸出比率は82.24%であるが、ボリュームの大きい山口銀行は52.42%と低いことがわかる。
山口県が人口に比して貸出金が第3位となっているのは、山口銀行の県外割合が高いことによるもので、それを考慮すると貸出金はほぼ人口に比例しているといえる。
因みに中国5県の人口は下記の通りとなっている。
(3)中国5県の人口は747万人と毎年減少が続いている。山口県の人口は2004年まで150万人を超えていたが、その後は減少が続き、福岡市(150万6,000人)に逆転されている。また島根県や鳥取県は2県を足しても山口県に届かない人口となっている。
九州においても福岡県を除きすべての県で人口が減少してきており、佐賀県は、ピークの1955年の97万人から現在は83万人に減少している。
(4)表1からおわかりのように、人口によってその銀行の規模は決まることになる。地域と密接につながりのある地方銀行にとって、本店所在の経済活動が活発であればその存立基盤は強固であるが、少子高齢化にともないその経済地盤は次第に縮小してきており、地方銀行にとっては厳しい冬の時代を迎えることになりそうだ。
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