脊振の自然を愛する会(福岡市早良区、池田友行代表)の池田代表は、写真をこよなく愛するアマチュア・フォトグラファーでもある。脊振の環境保全活動を行ないながら、美しい自然の数々をカメラに収め、写真集「脊振賛歌」を発行した。続編が待たれるなか当連載ではフォトエッセイとして、脊振の魅力を紹介する。
<卯の花 アジサイ科 ホトトギスとともに詠われた>
初夏を迎えると脊振の山では、白い花で賑います。ムシカリ、ハイノキ、ミズキ、ヤマボウシ等々です。
童謡『夏は来ぬ』にも歌われている『卯の花の匂う垣根に、時鳥(ホトトギス)早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ』は三重県鈴鹿市出身の佐佐木信綱の作詞によるものです。歌詞の通り、今の時期、山道(さんどう)では卯の花の白い花が咲き誇り、アゲハ蝶が蜜を吸いに来ています。そしてやおら『トウキョウ トッキョ キョカキョク』とホトトギスのさえずりが聞こえてきます。
卯の花はウツギの別称でアジサイ科です。枝の中心が空洞になっていると聞いていましたので、先日、枝を切ってみるとまさにその通りでした。枝が強いので木工細工の木釘として使われているそうです。
ホトトギスは頭がよいのか、ずる賢いのか他の鳥の巣に卵を産みつけます、托卵です。自分の巣の雛は蹴落とされて、ホトトギスの雛だけが丈夫に育って行く様です。
佐佐木信綱記念館は旧東海道の石薬師宿(いしやくししゅく)にあり、街道沿いの家々には短歌が下げられていて、彼の業績を讃えております。
娘家族が隣町の四日市市に住んでいますので、2度程訪れたことがあります。お土産として持参した卯の花の苗は、今、孫娘(11歳)が大切に育てています。
<池田友行氏プロフィール>
福岡市早良区在住。1944年3月生まれ
西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB。ソニーマーケティング(株)退職後、2008年より早良区と共働で、脊振山系道標設事業や脊振清掃登山に取り組み、中心的役割を果たす。
福岡市早良区の野河内渓谷整備に従事中。
「脊振の自然を愛する会」代表(会員100名)
早良区役所主宰の『早良みなみ塾』自然環境分科会代表
写真集『脊振讃歌』著者
各地で写真セミナー開催、『西日本新聞フォト随想』掲載。
西日本新聞 「風」に、脊振での活動が紹介される。
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