<本社移転でさらなる飛躍を>
長期にわたり、大野城市に本社を構えてきた同社が、福岡都心部の中心である天神へと本社を移転したのは12年12月のこと。前オーナーの厚意もあり、良い条件で自社ビルを構えることができた。本社を賃貸から自社物件に変えたことのメリットは、ランニングコストの圧縮や入居テナントからの賃貸収入など、さまざま存在する。そのなかでも、「福岡は、東京に負けず劣らないクリエイティブな人材が豊かな地区だ」と語る中田社長が大事にしてきたのは、人材の充実である。
昨今、人材不足という問題を抱える建設業界において、店舗内装でもそれは同様で、創造性に富むデザインは人が生み出すものであり、人が多くのウエイトを占める。経験豊かな人材の確保に加え、人材の育成という面でも、人材豊かな地域に拠点を構えた方が会社の将来像を考えた際に、有利に働く。東京営業所についても、全国から才能を持った人材が集まる地区であることから、重要なセクションとして位置づけている。「感性を磨くことがすべてにつながる」というデザインへの執着心が、優れた技術者を多く擁し、高く評価される同社の力となって表れていることだろう。
<活躍の場は福岡から全国へ>
長期にわたり淘汰されてきた建設業界にとって、現在の特需へ対応できない企業も多い。同社は、この期を新しい取り組みやさまざまな経験・発想を生む機会として受け止めている。現在の環境下で、売上を伸ばすことだけを考えるのは簡単なことだが、状況はいつまでも続くわけではない。お客さまからいただいたチャンスで、より良いものをつくり続ける。その実現には、チャンスをつかみ取るための挑戦をしなければならない。自社がやるべきこと、そして求められるためには何が必要なのか、事業環境に流されない一貫した考えのもと、虎視眈々と自社の活動領域を広げている。
また、同社には会長時代より「綺麗な仕事をしよう」という方針がある。デザインを生業とする企業として、その仕事自体は裏方的だと思いがちだ。ただ、手がけた店舗が開業し、実際に多くの人の目に触れるようになることを考えれば、人から見られる仕事であることには間違いない。それを認識したうえで、顧客に対して企画・立案など自己主張を行なっていく。各々が持ち寄った感性のもと、見られる仕事、表舞台の仕事に携わる1人ひとりの集まりから、他に類を見ない技術者集団である同社が創られている。
なぜ、東京ばかりがソフト面の提案をするのか。優れた人材が多い福岡からこそ、全国へ提案していいのではないかという思いを、自社が先陣を切って実現してきた。さらなる飛躍を目指して、今年4月には東京営業所の移転も予定。本社そして大川、東京の3拠点で福岡の感性を全国へ発信する。
新しい同社を牽引してきた中田社長は、社外でも地域イベントの立ち上げや福岡JCなどで活躍の場を広げる。会社経営と取り組む社外活動の共通点は「面白いことは徹底的にやる」ということだ。将来的には新部門の創設や新会社設立なども視野に入れるが、会社を今より大きくしようとは考えていない。「福岡からクリエイティブなことを発信する会社」で在り続けるため、日々進化を遂げる同社。店舗内装のスペシャリストとしてその名を聞く機会は、これからより一層多くなりそうだ。
≪ (前) |
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中田 泰平
所在地:福岡市中央区天神4-7-11 クレアビル
設 立:1981年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-724-1115
URL:http://www.crea-p.co.jp/
<PROFILE>
中田 泰平(なかた・たいへい)
1975年6月生まれ。学卒後、2005年6月に同社取締役、11年6月に同社代表取締役社長に就任。2代目として同社を牽引するほか、中洲ジャズイベントの立ち上げや福岡JCでの活動など、社外においても精力的に活躍の場を広げる。
※記事へのご意見はこちら