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STAP細胞に犯罪的捏造の可能性 植草一秀氏のブログより
社会
2014年6月 5日 18:07

 NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、STAP細胞をめぐる一連の騒動についての見解を述べた6月4日付の記事を紹介する。


 私は4月17日付ブログ・メルマガに次の記述を示した。

 STAP細胞そのものが、極めて疑わしいものであることが判明したのである。(中略)大きな騒動が起きて、明らかにするべきことは、STAP細胞の存在が確認されているのかどうかという点である。小保方氏は記者会見で「STAP細胞はあります」、「200回以上、STAP細胞の作製に成功した」と述べたが、小保方氏が発言した「STAP細胞」は学術的な意味でのSTAP細胞ではないと考えられる。

 小保方氏が述べた「STAP細胞を作製した」というのは、「未分化の細胞を確認した」だけに過ぎないのだと思われる。
 その「未分化の細胞」から、LIFと副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を含む培地を用いることにより、多能性と自己複製能を併せ持つ細胞株、すなわちSTAP幹細胞を得る方法が確立されたとされているが、STAP幹細胞を得る実験を行ったのは小保方氏ではなく山梨大学の若山教授である。

 問題は、この若山教授がSTAP細胞の作製に異議を唱えたことである。

 その最大の根拠とされたのは、以下の事実である。(Wikipediaより転載)

 「小保方が若山に提供した細胞から、若山が小保方に実験を依頼した系統のマウスとは異なる遺伝子が検出されたことがわかった。小保方はいずれの株についても「129」と呼ばれる系統のマウス由来の細胞だとして若山に提供した。しかし遺伝子を調べたところ、「B6」系統のマウスと、B6と129との間の子どものマウスに由来する細胞とわかった」

 幹細胞作製は若山教授が担当したということであると思われるが、若山教授は小保方氏から提供を受けた「未分化の細胞(小保方氏が言うところのSTAP細胞)」からSTAP幹細胞の作製を行い、その万能性を確認したのだと思われる。

 ところが、論文の学術上の疑義が生じたことから、若山教授は小保方氏から提供された細胞の解析を第三者機関に依頼した。その結果、小保方氏から提供された細胞が、若山氏が小保方氏に実験を依頼した系統のマウスとは異なる遺伝子を持つことが判明したのである。

 ただし、この解析は、今回のネイチャー論文に掲載した実験とは異なる実験で提供された細胞についての解析であるという。この事実が判明したために、若山教授が論文の撤回を呼びかけた。これが今回の問題が大不祥事に発展した直接のきっかけである。

 こうして事実関係を負ってみると、極めて不可解な現実が浮かび上がる。若山教授の指摘は、まさに核心を衝くものなのである。そして、もし、若山氏が依頼した遺伝子の解析が、今回のネイチャー論文にかかる細胞についての実験ではない、別の実験にかかるものであるとの説明が真実でなかったらどうなるのか。完全なる不正が存在したことになる。

 不可思議だと思われるのは、若山教授が、今回のネイチャー論文にかかる実験で用いた細胞を保管しており、この細胞の遺伝子解析を第三者機関に依頼することが十分に可能であると考えられることだ。そうであるなら、その核心の解析を依頼すれば、真実は誰の目にも明らかになるはずである。その解析結果に、何らの矛盾がなければ、若山教授は論文の撤回を提案などしなかったのではないか。未分化の細胞が作製され、その未分化の細胞から万能性を有する幹細胞が作製されたこともたしかなものになるはずである。

 ここから先は、一つの推論である。

 若山教授は、すでに、問題の核心、確証を得ているのではないかと思われる。若山教授が、ネイチャー論文にかかる実験で用いた細胞についての解析を依頼し、その解析結果から、若山氏が依頼したマウスとは異なる系統の遺伝子が含まれていたなら、その過程で重大な不正が介在した蓋然性が著しく高まる。

 この結果を受けて、若山氏は論文撤回を提案したのではないのか。しかし、その事実を公表することのインパクトは想像を絶するものになる。理研サイドは、関係者から十分に事情を聴き、かつ、証拠関係の資料、保管物などを詳細に検証すれば、論文に不正が存在したのかどうかは判定できるはずである。

 科学論文であるのだから、客観的に誰でもが確認できることが、証明の価値そのものである。誰も確認もできず、証拠も掲載されていない論文を、世紀の大発見と表現すること自体が、そもそもの間違いである。STAP細胞問題が、巨大不正事案として決着することは、いまの政治事情からすれば、容認され難いこととなる。理研の「特定国立研究開発法人」指定など、はるかかなたに吹き飛ぶことは間違いない。

 まずは、若山教授がネイチャー論文で幹細胞作製に用いた細胞の解析結果を公表することが先決である。メディアは若山教授に取材しても、「論文撤回の考えは変わらない」のコメントしか引き出せずにいる。問題の核心は別のところにある。若山教授が提供を受けた細胞がどの系統のマウスのものであるのかを確認するべきである。専門知識を要する問題であることを利用して、核心の調査、調査結果公表がはぐらかされ、問題の核心を闇に葬る策略が進行していないかどうか。

 常識的判断力のあるメディアが、積極的に行動し、真実を明らかにしてゆく必要がある。同時に、主権者国民の血税を意味不明な領域にばら撒くことだけは絶対に阻止しなければならない」

 引用が長くなったが、問題の核心が明らかになり始めている。小保方氏が作製したとされる「STAP細胞」が正当に作製されたものではなく、別のマウス由来のES細胞などであるということになると、これは単なる論文の不備、論文不正の域を完全に超えることになる。犯罪的な捏造ということになる。真相の徹底解明が必要不可欠である。

(訂正とお詫び)安倍首相による神戸の理化学研究所:発生・再生科学総合研究センター視察日時は2013年1月11日でしたので、訂正してお詫びします。

※続きは、4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第879号「科学技術振興の美名による財政バラマキをやめよ」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』


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