<韓国のキャリア>
今回は、韓国の通信市場の状況と問題点について書いてみることにする。
ご存知のように、韓国には3つのキャリアがある。SKテレコム、コリアテレコム(KT)、LGユープラスである。
SKテレコムは1994年に韓国移動通信株式会社を民営化する過程でSKグループが落札した会社で、96年度に世界初のCDMAサービスを開始した会社でもある。2008年度にはハナロテレコム社を買収することによって、固定電話事業にも進出している。
KTは81年度に韓国電気通信公社としてスタートし、01年12月に今の社名であるKTに商号を変更した。09年6月には無線事業の子会社であったKTFを合併し、従来の固定電話事業に無線事業を同時に行なうことになった。NTTドコモはKTの2大大株主でもある。
LGユープラスはLGグループに属していて、96年7月に設立されたLGテレコムと、韓国2番手の通信会社であったデイコムがLGグループに編入することによってできたLGデイコム、それとLGパワーコムが合併してできた会社である。
市場占有率はSKテレコムが50.4%、KTが31.5%、LGユープラスが18.1%である。3社の売上高はSKテレコムが15兆9,883億ウォン、KTが21兆9910億ウォン、LGユープラスは9兆2,513億ウォンである。
ちなみに、2012年度の日本のキャリアの売上高は、NTTドコモが4兆4,701億円、auが3兆6,622億円、ソフトバンクが3兆3,783億円。
韓国の携帯電話の普及台数は約5,400万台で、そのうちの約3,780万台がスマホである。スマホの普及率は約7割で世界一を誇っている。LTE加入者数も2,900万を超えていて、LTEサービスにおいても韓国は、アメリカ、日本とともに一歩リードをしている。
通信業界は巨額の設備投資が先行するため、市場参入が難しく寡占状態になっており、他業界に比べてまだ高い営業利益率を誇っているのが事実で、今後、値下げの圧力がかかってくる可能性は高い。
韓国の通信費は世界一高く、家庭当たりの月の通信費の平均額は15万9,400ウォンになっている。このような家計の負担を少しでも軽減するために、政府が導入推進を進めているのが「節約フォン」である。節約フォンは、すでに加入者数が300万名を上回っている。
韓国のキャリア3社は、スマホの普及で通信料金が増えていて営業利益が伸びているが、加入者数の飽和状態、音声通話事業の衰退、競争激化などでキャリアの悩みも多い。とくにiPhoneの登場で、キャリアは今までのビジネスモデルが崩れ、ただ回線だけを提供する業者に転落する可能性もあるため、そのような状況を避けるために生き残りに必死になっている。
一方、世界のスマホ普及台数はすでに10億台を突破している。09年度の普及台数はたったの1億7,000台くらいだったのが、4年間で6倍も成長したことになる。2017年度には16億台を超えるだろうと言う試算も出ている。日本のスマホ普及台数は2,960万台でスマホの割合は47%である。
今後、アジアを中心にスマホはもっともっと成長するだろうし、将来は携帯端末を経由してインターネットにアクセスする傾向は加速するだろう。
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