NISA(少額投資非課税制度)は今年1月6日にスタートしたが、政府は100万円に設定されている現在の非課税枠を、200万円~300万円へ拡大する検討に入ったことを政府関係者が明らかにした。
NISAの概要は下記の通りとなっている。
(1)年間100万円までの新規投資から発生した配当金や分配金、譲渡益が最大5年間非課税。
(2)NISA口座開設年の1月1日時点で、20歳以上の日本国内に住む個人。
(3)NISA口座は1人につき1口座のみ開設(複数口座は不可)。
(4)NISA口座は、第1期間(2014年~2017年)、第2期間(2018年~2021年)、第3期(2022年~2023年)と、通算10年間であり、各期間につき1つの金融機関において1回のみ開設可能。また、NISA口座内の残高を、非課税扱い(NISA口座)として他金融機関に移管することはできない。
(5)NISA口座では、毎年100万円までの新規投資が可能。
・但し、NISA口座での年間累計購入額が100万円未満であった場合、その残額を翌年以降に繰り越すことはできない。
・購入した商品を売却した場合、売却部分の非課税枠を再利用することはできない。
(6)NISA口座は上場株式(ETFやREITを含む)や、株式投資信託などの商品が購入対象。
(7)NISA口座で購入した上場株式や投資信託を売却した際の譲渡益は非課税となるが、譲渡損失が発生した場合は、他口座と損益通算できない。
(8)NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするには、各証券会社の配当金受取サービス」を利用することが必要。
◆非課税枠の拡大を急ぐ政府の思惑
政府が運用開始からわずか5カ月余りしか経っていないのに、早くも非課税枠100万円から200~300万円への増枠に踏み切れば、朝令暮改の最たるものと言えそうだ。
今はNISAを利用していない個人投資家に投資を促す方法を考えるべきではないだろうか。投資は投資家にとっては大きなリスクをともなうものである。そのためには10年間の限定ではなく、真に投資家が魅力を感じるような内容にNISAを改良していくことこそが、まず優先されるべきことではないかと思われる。何が何でも株価上昇に弾みをつけたい政府と、更に投資を呼び込みたい証券業界との思惑が透けて見える。
NISAは新規投資家育成のためにスタートした制度にもかかわらず、アベノミクスに利用された制度となり、投資家は増枠によって収益チャンスが拡大するのか、それともアベノリスクによる損失を負うかは表裏一体であり、あくまでも自己責任原則による投資が求められることになりそうだ。
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