政治資金パーティーを案内する印刷物のあいさつ文で、福岡市を「左遷されて来る場所」と表現していた高島宗一郎福岡市長。失言かと思いきや、このフレーズはどうも高島市長のお気に入りらしく、自身のブログでも使われていたことがわかった。
高島市長個人のブログには、2014年3月30日の記事<東京で開催した「福岡移住計画」〉で、<菅原道真公からさしこまで。福岡を、左遷されて来る場所からチャレンジャーが夢を実現するために移住する舞台にしたい!>と、前出の印刷物同様の発言を行なっている。
高島市長は、この「福岡市=左遷の地」という認識に立ち、肝いりの「創業特区」を市内外に発信している。過去・現在の否定から始まる「創造」と言えば聞こえはいいが、この認識に疑問を感じる市民は決して少なくはないだろう。
「税金を使って、何をやっているかわからないカワイイ区よりも、ビジネスとはいえ、ヒットソングのプロモーションビデオ撮影のロケを福岡に呼んだ『さしこ』のほうが市に貢献しているのでは?」(男性会社員)
「福岡の支店に転勤して中洲で社会人の飲み方を学び、東京の本社に戻った後、出世してお偉いさんになった人たちは大勢いますよ」(中洲・老舗スナックのママさん)
一方、市政をチェックする立場である、福岡市議会議員からは以下のコメントが寄せられた。
「表現もおかしければ、認識も間違っている。歴史的に見ても福岡は歴然として1つの大きな拠点であった。地域の文化、歴史、景観、自然を守ろうとしない、『中央志向』の発想がそのまま『創業特区』につながっている」(荒木龍昇市議・無所属)
「この市長にしてこの発言、いまさら驚くほどのことではない。彼は物事を熟慮する姿勢が乏しい。福岡市で暮らす人の思いも、市民の暮らしもかえりみていない。『呼びこみ型』と我々の間では呼んでいるが、外にばかり目を向けて市民を見ようとせず、市長としてまずすべきこと、『福祉』の考えが完全に抜け落ちている」(中山郁美市議・共産党)
今回の「左遷」発言については、言葉の用い方のみならず、高島市長が推している「創業特区」につながる、地域の長としての根本の姿勢にそもそもの問題があることが露呈したと言えよう。あたかも良き取り組みであるかのように喧伝される「創業特区」の実態については、NET-IBで今後も追及を続ける。
【特別取材班】
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