ネパールの子どもたちに対して、就学率の向上に関する事業を行なっているのが、NPO法人福岡・ネパール児童教育振興会だ。日本国内では、一般の市民を対象とした国際交流のための事業等を行なっている。理事長の篠隈光彦氏は、物心ともこれらの活動に尽力しネパール本国と日本との友好関係の発展に多大な貢献を継続している。12年間在福岡ネパール連邦民主共和国名誉総領事として活躍した篠隈氏と同会の現在の活動と将来の支援についてレポートする。
<学校の開校支援>
同会は、福岡博多東ライオンズクラブ30周年記念事業として、ネパールへ小学校を開校させた活動の運営を支援した。1999年7月、「ふくおかニルマルポカリ小学校」と命名された6教室(職員室1室)を建設・開校。119名の子どもたちを受け入れた。
同学校建設地の選定は、在日ネパール大使館や福岡在住ネパール留学生の協力を得て、ネパール中央部、ヒマラヤ観光の拠点となるポカラ近郊の村、標高1,000mのニルマリポカリ村(人口約7,000人)とした。資金援助期間を10年と定め、98年に小学校の建設に着手した。それと同時に、同会を設立し、援助終了後の自立運営等を模索した。
ニルマリポカリ村の住人のほとんどが、農業で生活しているものの、経済的には食べるのが精一杯で、子どもたちもその労働力の一員であった。そのため、就学の対象年齢に達した子どもたちのなかで実際に学校へ通えるのは、「1,000人位のうち、おおよそ半分」(篠隈理事長)という厳しい状況であった。
同会の呼びかけで、一般市民や企業・団体、ほかのライオンズクラブからの支援が行なわれた。その集まった資金は学校運営のほか、当初計画の小学校に加えて中学校の増設や図書館の建設に当てることができた。
具体的に紹介すると、
(1)福岡那の香ライオンズクラブとの共同事業でのLCIF(ライオンズクラブ国際財団)から1万ドルの資金の支援を得ることを実現。ネパール側のポカラ ガンダキライオンズクラブとの提携もそれを後押しした。
(2)福岡鶴城ライオンズクラブは、同クラブ30周年記念事業として同小学校敷地内に「レインボーライブラリー=虹の図書館」を建設、寄贈した。
(3)福岡私立幼稚園連盟から、2000年から8年に渡る同事業のための募金活動。合計958万8,692円の支援。
その後、同小学校は幼児教育を含め、中・高校生を受け入れる教室を増設。合計12教室となった(幼稚園2教室、小学生5教室、中学生3教室、高校生2教室)。それにともない、校名が「ふくおかニルマルポカリ中等学校」と改称された。
同会と福岡のライオンズクラブ各団体そして篠隈理事長の献身的な活動によりネパールの児童と青少年教育に好影響をもたらした。
同小学校の開設時の在校生が119名から2013年時点では287名。教育制度は、小学校5年、中学校3年、高校2年の計10年。世界標準は12年。この就学年数のように、ネパールと世界標準とはまだ大きな差があるのが現状である。
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