中国の都市部の月給をデータで見てみると1,000元(約1万6,000円)~2,000元(約3万2,000円)が大学の初任給とされ、サラリーマンの平均月収は2,000元(約3万2,000円)~4,000元(約6万2,000円)とされる。しかし、街のショップで売られている本物のiPhoneは5,500元(約7万5,000円)もするし、繁盛しているスポーツショップのグッズなどはおしなべて高かったりもする。中国では往々にして平均値が当てにならないことがある。データの取り方も違えば、「なにも数字が発生しない」=「ゼロ」が平均値を下げ、現実を忠実に表さないことがあるからだ。
中国の本当の給料基準を知りたい時に参考になるのは、「求職節目」と呼ばれるジャンルの番組だ。「非你莫属」(天津テレビ)、「職来職往」(中国教育チャンネル)などが代表的な求職番組で、お見合い番組ほどに本数はないものの、一定程度の人気を集めている。学生や社会人経験のある若者が登場、それぞれのキャリアやスキルを披露。食品業界、メディア業界、IT業界などの経営者12人が若者を審査する。さまざまな質問をしながら「こいつは使えない」と思った瞬間に、手元にあるランプを消していく。第3次アピールまで終了した時点でランプが残っている経営者がいた場合、今度は求職する若者に権利が与えられる。若者が希望する給料やポストなどを提示、経営者(複数残る場合もある)が条件に応じられるかを見ながら、若者が入社するかを判断するのだ。
日本人は一般的に「お金の話をしない」というのがコミュニケーションの原則だが、中国ではお金の話は当たり前。初対面でも「月収はいくらなのか?」と平気で聞いてきたりする。番組での若者の初任給としての提示額は6,000元(約9万6,000円)~7,000元(約11万2,000円)が相場。そして、会社側がはじめに条件提示する金額は4,500元(約7万円)~5,500元(約約8万8,000円)が相場となっている。良い人材が登場して競合した場合、会社側が提示額を吊り上げることもある。出演する経営者から若者に対して、「考え方が甘い!」「いまどき海外に留学したからといって何の役にも立たない!」などといった辛辣な意見が飛ぶ。言論では負けない若者も「あなたの会社は好きだったが、今日会ってガッカリした!」などと言い返す白熱した場面も見られる。
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