2年半前に全国展開を開始し、掲載数で5,000社を突破した「日本の社長.tv」。しかし、その躍進からは考えられない経営危機説が流れ始めた。ディーノシステムに何が起こったのか。危機にあったことを認めたうえで、中島社長が真相を語る。
――ここ最近、苦しい状況に陥っているという話が出回っていましたが・・・。
中島 昨年11月の決算までは、ある程度、そんなにおかしくはなってなかったんですが、この半年ですね。
――11月はどのくらいで締めたんですか。
中島 それがですね、もともと売上が7億円弱くらいで、マイナスは数千万あったんですが、債務超過にはならずに、ある程度予想通りでした。それまで、営業代行で獲得を請け負って契約をとり、現地の代理店さんがインタビューに行き、その動画を編集して公開した時点で、営業代行は完了と。それで公開するたびに売上計上していきました。だから1カ月の公開数によって売上高が決まっていったのです。
いったんもらって公開するたびに売上計上していきました。それが昨年公開した分で、売上高も4億以上になりました。それに福岡の掲載分を含めると7億円くらいの売上にしていましたが、昨年末ぐらいに、財務内容をしっかり整えようということでデューデリをお願いしたら、「そもそも、この営業代行の公開売上は、業務委託で売上でないのでは?」という話もあがり、最終的には「売上ではなく仮受金にしよう」と。
代理店さんは事業投資していただいた費用を、その後、どのように回収するかというと、弊社は一気に掲載増加の速度をあげたいと考えていたので、代理店さんが最初の投資を回収し終わるまでは、全額、優先的にあげるという契約にしていました。数千万の投資でも1年ちょっとで回収することもあります。
――それは、あまりにも至れり尽くせりではないですか。
中島 それが致命的になりました。どちらかというと、中長期的な視点が抜け落ちたまま、加盟開発がしやすいっていう視点でビジネスモデルをつくってしまった。今考えるとやりすぎだったのですが、3年前、2年前は気づかなかったんですね。1万社くらいまで走り抜ければ、収益は分配されるんだからつじつまが合うと軽く考えていたんですよ。しかし、投資回収まで弊社に入らないから、「営業代行の費用は借りていること同じだから短期借入金」ということになりまして。その結果、売上が半減し、債務超過に陥ってしまったんです。
――そうなりますね。
中島 数千社の営業代行分ですから、数億円単位で、いきなり大幅な債務超過になりました。それで、今までの大きな資金繰りの頼りだった、数千万単位での事業投資は受けられなくなりました。
そういうわけで、急激に資金繰りが悪くなり、一方で、たくさん動画を製作するつもりでしたから社員は多い。でも、債務超過なので銀行は貸してくれない。にっちもさっちもいかなくなりました。「やりすぎな中島を追い出そう」という話まで出てきましたが、反対するメンバーが何人か立ち上がりまして、「ディーノは中島がつくった。俺は中島と働きたいんだ!」と、私を守ってくれまして。それで今、少人数になりましたが、なんとか残っているという状況です。
(つづく)
【文・構成:山下 康太】
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