脊振の自然を愛する会(福岡市早良区、池田友行代表)の池田代表は、写真をこよなく愛するアマチュア・フォトグラファーでもある。背振の環境保全活動を行ないながら、美しい自然の数々をカメラに収め、写真集「脊振賛歌」を発行した。続編が待たれるなか当連載ではフォトエッセイとして、背振の魅力を紹介する。
<ヤマアジサイ 和名:山紫陽花 アジサイ科 貴婦人の佇まい>
6月も中頃になると、山ではヤマアジサイが咲き始めます。街で見かけるジサイと比べると萼(がく)が小ぶりで可憐です。この可憐さは貴婦人かと思わせる雰囲気があります。
撮影する場所としては、どこがこの花に似つかわしいか思いを巡らせました。やはりこの花は沢が似合っている。それで絶好の渓谷のポントへ出かけて三脚をセッティングしました。沢では地表との温度差がるので必ず風が舞います。
風が止むのをしばし待つことになりますが、沢の流れを表現する為にスローシャッターにします。
そして感動の一瞬にレリーズ(カメラブレを防ぐために)を押します。
花の色の紫はノーマルの露出では紫色に表現できません。人間の目と違いフィルムやデジカメのCCDは露出の調整が必要です。色温度が一定になっていますので自動的に判別できないのです。人間の目がいかに素晴らしいか良くわかります。(紫花の露出はマイナス0.3くらいにして)
いつかRKBラジオの林田スマさんのラジオトークに出演した折りに、大学ノートに書いたものを持参したのですが、彼女は喋りのプロですから実に上手くノートを詠んでくれました。『季節、季節に自然はこんなにすばらしいものをプレゼントしてくれる。山行きをしてよかったと思う。思い切りレンズを絞る、そして開ける』と花たちとの一期一会をすばらしい言葉で表現してくれました。
『感動の一瞬、この感動の一瞬が良い作品を生む』と私は続けました。
ヤマアジサイの撮影の現像はイメージ通りに出来上がっていました。フィルムカメラでしか味わえない時間です。
【ヤマボウシ】
<池田友行氏プロフィール>
福岡市早良区在住。1944年3月生まれ
西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB。ソニーマーケティング(株)退職後、2008年より早良区と共働で、脊振山系道標設事業や脊振清掃登山に取り組み、中心的役割を果たす。
福岡市早良区の野河内渓谷整備に従事中。
「脊振の自然を愛する会」代表(会員100名)
早良区役所主宰の『早良みなみ塾』自然環境分科会代表
写真集『脊振讃歌』著者
各地で写真セミナー開催、『西日本新聞フォト随想』掲載。
西日本新聞 「風」に、脊振での活動が紹介される。
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