「自転車」への取り締まりが日増しに強化される福岡市内。とくに中央区は警察署員や制服を着た警備員が立ち並び、自転車を運転する人への声かけが行なわれている。雨の日の傘差し運転や、イヤホンをはめての運転はもちろんのこと、天神地区では歩道の右側を通っているだけで、呼び止められ、説教をされている市民の姿もある。「自転車も車」「最近、自転車運転者のマナーが悪い」という理屈があるわけだが、台湾から来た留学生たちは、この自転車取り締まりに辟易していると言う。
「福岡は坂が少なく、大学から都心へのアクセスも便利だと聞き自転車を買ったのに、駐輪する場所が少ない!」「天神に1時間ほど自転車を止め買い物して戻ってきたら撤去されており、天神北の保管所に行って2,000円を払わされた!」「なぜ福岡は自転車にこんなに厳しいのか。東京ですらそこまで厳しくなかった!」と留学生たちは不満を漏らす。
また、警察官のみならず、警察官のような制服を着た「自転車取り締まり隊」のような人々の多さにも驚くと言う。「天神を自転車で走っていると、制服を着たお年寄りが数人近寄ってきて『ここは自転車はダメ!』と説教をされた。ルールなのはわかるが、自転車で通るくらいで大騒ぎしすぎ!」「『自転車が危ない』というが、車の方が事故率や事故致死率は高い。なぜ自転車がターゲットにされるのか」「制服を着た人間が、警官や隊員があちこちに立って見張っているのはまるで『大陸』のようだ!」。たしかに、中国大陸には普通の広場でも見張りの「公安」職員が立っていることが多い。天神の自転車通行禁止区域では、自転車通行者がいないかどうか「監視」するように、複数の指導員が立っている。
オートバイの使用率が高い台湾だが、排気ガス抑制、環境保護などのため、国内生産数が多い「自転車」へシフト。運動効果もあり、健康ブームの台湾でも重宝され始めた。一方で、日本も「自転車が健康に良い」というのはわかってはいるものの、税収を保持したいために各自治体は「飲酒運転撲滅」は訴えても「車の数を減らそう」という動きにはならない。
「自転車での移動」は歓迎されるものだというイメージで来福したものの、自転車に対する風当たりが予想外に強く、うんざりしていると言う台湾人も少なくない。「歩道を走っていたら警察官風の男性に呼び止められ『車道を走ってください』と言われた。車道は道幅が狭いし、バスも横を走っていく。危ないのに車道を通らなければいけないのか」とこぼした。
【杉本 尚丈】
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