<本国に貢献する人材を出すこと>
ネパールは1769年(我が国では江戸中期で田沼意次が徳川幕府の中枢に居た時代)に統一された。国土面積は14万7,000m2(北海道の1.8倍)。主力産業は農林業、貿易・卸売業、交通・通信業。GDP(名目)は、約195.31億ドル。長らく王国であったが、96年よりネパール統一共産党毛沢東主義派(マオイスト)が武力闘争を行ない、政情不安定が続いた。2006年に包括和平が成立し、08年には制憲議会選挙を実施。制憲議会初会合では、王政が廃止され、連邦民主共和制に移行した。人口は約2,600万人。就労者の65%が農業に依存し、約2,200万人が貧困層とされる。
56年に我が国との国交が樹立。以来、友好・親善的な関係を維持している(外務省、財務省データより)。200年以上の歴史を有する国家である一方、経済や産業の発展が途上で政治不安が勃発するなど、現在も先進各国の支援が、必要な情勢であることは否めない。
ネパールの児童教育支援を通じて貢献してきた同会の他の支援として、『ネパール児童教育基金』を13年5月に創設。250万円の基金として立ち上がっている。
また、同会とライオンズクラブが着手したネパールの児童教育支援事業をきっかけに、01年3月福岡に名誉領事館が開設された。その名誉総領事として12年間在職した篠隈氏。13年3月の閉館まで、ネパールと我が国の親善と平和のために、任務を全うした。その証として、同事業を着手した98年時点で福岡に在留するネパールの留学生は10人であったが、現在では、1,000人の留学生が福岡に在留する。これは、中国、韓国に次いで3番目の人数である。ここまで増大したのは、篠隈理事長をはじめとした同会およびライオンズクラブの同事業が献身的に支えたことに、帰結する。
篠隈理事長は、「ネパールの留学生に話すのは、我が国で学んだことを本国に帰って活かすこと。本国では現在でも産業振興が途上のなかで、就業することが困難であることは事実。その現実を踏まえて留学生には"ネパールで事業家になりなさい"と進言している。我が国で学び働いた経験を、本国の経済発展、産業振興に活かしてほしい。それは事業家になることが一番。事業家となって、ネパール本国に貢献してほしい」と述べている。
以上、同会とライオンズクラブのネパールへの支援事業を紹介した。児童教育支援事業・コーヒー栽培事業など数々の支援事業には、すべて一貫性がある。それは、青少年の自立である。国の将来を担う次世代の人々への深い愛情が、篠隈理事長の言葉と話す時の眼差しから伝わってきた。
今年の秋に、現地を訪問する篠隈理事長。同会・ライオンズクラブが関わった学校の卒業生が136名。大学へ進学、新聞記者、報道カメラマンとなるなど、各方面で活躍する例が出てきている。篠隈理事長は、彼ら彼女らとの再会を楽しみにしているという。
今後のさらなる支援活動の発展を期待したい。
(了)
【河原 清明】
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