中国内陸部の湖南省長沙市にあるテレビ局・湖南テレビ。この局には「中国に知らない人はいない」と言われるほどの人気を持つ番組がある。それが「快楽大本営」だ。
毎週土曜夜に放送されているバラエティ・トークショーで1997年に番組が開始した20年近い長寿番組だ。司会者は5人で、主軸は男性人気司会者・何炅(ハー・チョン)氏。開始当初から司会を続ける何炅氏は今年40歳を迎えるが、童顔で年齢を感じさせない。出演者から「何老師」(先生の意)と呼ばれているが、彼が、若い頃にテレビ司会者との兼業で、北京外国語大学でアラビア語の講師を務めていたことに由来する。
中国でトップクラスの視聴率を誇る同番組はゲストも多彩だ。歌手はもちろん、公開映画やドラマの宣伝のため、香港のアクション俳優・ジャッキー・チェン(成龍)氏やハリウッドで活躍する章子怡(チャン・ツーイー)氏など、香港を含む中国国内のかなり著名な俳優・女優も出演する。ただ単に告知をして帰るだけではなく、番組内のコーナーやゲストにも積極的に加わる。取って付けたように役者が宣伝で出演する日本のテレビとは大違いだ。台湾からのゲストも増加傾向、羅志祥(ルオ・ツーシャン)氏や張韶涵(チャン・シャオハン)氏など、アジアマーケットで活躍する台湾人歌手も「大陸」で行なうコンサートツアー前のタイミングで出演する。
同番組に出演した場合の反響は非常に大きい。日本では「権利」を保護するためにテレビ番組は動画共有サイトで撒かれることを嫌い制限をかけるが、中国はその反対。「公共性の高い」メディアと捉えており、どんどん撒いてくださいというスタンスだ。番組は、中国国内のみならず、インターネットを通じて、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど中華系移民の多い地域にも散布される。そのため、海外展開を狙う中国系企業がスポンサーに付くこともある。ここ数年は韓国系ユニットなどの出演も多く、日本人でも韓国系ユニット愛好家は、インターネット経由で同番組を見ていると言う。中華圏や韓国のタレントの間では出演競争率の高い「快楽大本営」に出られるかどうか、一つの人気や実力のバロメータとなっており、業界からの注目も高い。
※記事へのご意見はこちら