フォトボルト・デベロップメント・パートナーズ社(ドイツ)、京セラ、九電工、オリックス、みずほ銀行は6月12日、長崎県佐世保市宇久(宇久島)に最大出力430MWのメガソーラー発電施設を設置するプロジェクトの基本合意がなされたことを発表した。計画が実現したならば、世界最大の営農型太陽光発電施設となる。
発表によると本件は、2013年4月からドイツの太陽光発電プロジェクト開発会社であるフォトボルト・デベロップメント・パートナーズ社が計画した、宇久島の地域活性化を含めたプロジェクトだという。島の約4分の1(630万m2)を用いて、太陽光発電を行なう予定。昨年12月より住民説明会などを重ねており、現在も土地の取得に向けた活動を展開している。
営農型というのは、農業も同時に実施できる太陽光発電施設だということ。背の高い架台を用いて太陽光発電パネルを設置し、その下に牧草を生い茂らせる。農地や耕作放棄地を中心に用地を取得し、農業と発電事業の両立を目指す。畜産農家に業務委託をして、島の主幹産業である農業の発展にも寄与したい考えだ。
そこで生まれた電力は60kmの海底ケーブルで九州本土へ送られ、九州電力に買い取ってもらう計画となっている。年間の発電量は約50万MWhと想定されており、これは約13万8,800世帯分の電力をまかなえるとしている。
宇久島メガソーラーパークサービス社が現地の用地を借り受け、それをSPCであるテラソール合同会社に転貸する予定だ。京セラは、同プロジェクトで使われるソーラーパネルの提供と施工・保守などを、九電工は施工・保守などを、みずほ銀行はプロジェクトファイナンスで資金面を担当するという。また、テラソール合同会社へは京セラ、九電工、オリックスが出資を検討している。
五島列島の北部に位置する宇久島。人口は約2,200人の農業を中心とした島だ。そこに1,500億円ものプロジェクトが持ち込まれているのである。農業と大規模再生可能エネルギー発電の両立、地域の活性化など、真新しいことづくしの本計画は、2015年の着工を目指す。
【柳 茂嘉】
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