<「顧客第一主義」を掲げ、厚い信頼得る>
創業から40年近くを経て、取り扱う電材製品は4万種類以上、取引メーカーは業界大手を含む100社以上、営業先は700社に上る三共電気(株)。メーカー系列が圧倒的に多い電材卸売業において、独立系卸売商社として同社は福岡県内トップクラスの地位を確立。「顧客第一主義」を掲げ、取引先からは「丁寧に、迅速に、確実に、きめ細かい配慮まで」と信頼は厚い。
2013年7月、新代表に木原和英氏が就任し、第2創業期として、さらなる飛躍を目指している。政権交代後の建設市場の拡大により、電気業界も動きが活発になってきており、消費税増税前の駆け込み需要の発生により、多忙を極める毎日。業界の上昇気流を感じた時期に代表交代。「下がり目よりも上向き基調のときに交代させよう」と、現会長の出口守氏の心配りも垣間見える。
木原氏の代表就任後、建設需要の拡大を受け、舵取りは概ね順調に行なわれている。「今期は前年比2割ほどの増収を見込んでいる。売上に関しては、伸びてきているが、中身がともなっているかどうかはこれから検証したい」と浮かれてばかりではいない。
<LEDと太陽光に代わる新たな商材を>
そのような状況下で、電気業界を牽引しているのはやはりLEDと太陽光発電関連製品となる。同社でもこの2つが主軸となっている。
公共事業においては街灯、防犯灯のLED化は今後も予算が計上されており、白熱灯からLEDへの切り替えはしばらく需要が見込める。
太陽光に関しては、売電価格と発電機の本体価格を見極めて設置時期を決めようとするケースも目立ち、大きく工期は遅れているが、潜在需要は大きい。また、売上の約10%がメガソーラー関連であるが、「メガソーラーに関しては後2、3年で頭打ち。家庭用など小規模発電の方が長く期待できる」と現状を分析している。
今後もこれら関連商材が事業を牽引していくことになるが、一方で危惧もある。「それらに代わる新しい商材が見当たらない」(木原氏)。LEDも太陽光も永続的なものではなく、普及すれば当然、売上は減少していく。それに代わる次世代型商品の発掘が、今後の営業の焦点になる。
同社の特徴は、急な注文にも即時対応するクイックデリバリーである。「大手に勝つためには、ほかがやっていないことをやるしかない」と、常に迅速な対応を心がける。現場ではビス1本でもなければ、作業が中断してしまう。そこにどれだけ早く届けられるか。同時に、注文を受けた際には提案型の営業を展開する。注文通りでは、その後の発展が見込めないからである。
やはり、そこで重要となってくるのが、個々のプレイヤーである。そのため、社員教育には日頃から力を注いでいる。
まず1カ月に、2、3回の勉強会を実施。現場でのトラブルや営業の展開など、実際に起こった身近な事例を挙げて、どのような対処を行なえばよいのかを突き合わせる。
経験の少ない若手にとってはもちろん、ある程度経験を積んだ社員にとっても再勉強の場となっているという。ベテランは聞くに聞けない立場にあり、誤った対処のまま現在に至る場合もある。若手からベテランまでが一同に会し、ディスカッションを行なう機会を設定することで、双方にとって実りのある時間となっている。若手の悩み、ベテランの「今さら聞けないこと」を解決している。
部署ごとでも行なうが、場合によっては全社員が参加する場合もある。1つの事象であっても、部署ごとに見方が変わり、意見は異なる。そこで気付きが生まれ、お互いの新しい発見につながっている。「相手によって、対処はさまざま。10人いれば10通りの対処が必要になる。1つの方法がすべてに通用するわけではない。基本は相手の視点で物事をとらえることにある」(木原氏)。
(つづく)
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:木原 和英
所在地:福岡市西区福重1-14-25
設 立:1976年6月
資本金:7,200万円
TEL:092-883-8588
URL:http://www.sdkk.jp/
<PRESIDENT PROFILE>
木原 和英(きはら・かずひで)
1968年2月生まれ、福岡市出身。87年に三共電気(株)に入社。その後2000年4月に南営業所所長兼営業本部長、03年5月に取締役営業部長、10年7月に取締役常務を経て、13年7月に代表取締役に就任。趣味はゴルフ。
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